インバウンド集客には、外国人観光客が日常的に使うSNSや口コミサイトの活用が不可欠です。国や地域によってSNSの利用傾向や口コミ文化は異なるため、各市場に合わせたプラットフォームで情報を発信することが重要です。本記事では、中国、香港・台湾、韓国、北米、ヨーロッパ・中東といった主要ターゲット市場ごとに、最適なSNS・口コミサイトの具体的な活用事例を紹介します。さらに、口コミを増やすキャンペーン施策や効果測定、オペレーション改善のポイントも詳しく解説。世界中の旅行者の視点に立ち、彼らが重視する価値に合わせた情報発信を行うことで、多角的な集客戦略を展開し、インバウンド成功への第一歩を踏み出しましょう。
【目次】
インバウンド集客において、SNSや口コミは非常に強力なツールとなります。その主な理由を解説します。。
SNSや口コミは、企業が発信する広告とは異なり、実際に商品やサービスを体験した生の声が反映されているものです。そのため、旅行を計画している外国人観光客にとって、客観的で信頼性の高い情報源となります。特に、見知らぬ土地への旅行では不安がつきものですが、他の旅行者の体験談は安心感を与え、訪問への後押しとなります。
SNSは情報の拡散スピードが速く、リアルタイムに多くの人々にリーチすることができます。美しい写真や動画、体験談などがシェアされることで、瞬く間に潜在顧客の目に触れる機会が増えます。特に、インフルエンサーによる投稿は、そのフォロワーに対して大きな影響力を持つため、短期間での認知度向上に貢献します。
SNSは多言語に対応しており、世界中のユーザーに情報を届けることができます。また、写真や動画といった視覚的なコンテンツは、言語の壁を越えて魅力を伝える上で非常に有効です。美しい日本の風景、美味しい料理、ユニークな体験などは、言葉が分からなくても視覚的に訴えかけることで、外国人観光客の訪問意欲を高めることが可能です。
SNSは一方的な情報発信だけでなく、顧客との双方向のコミュニケーションを可能にします。コメントや質問への返信、ライブ配信などを通じて、顧客とのエンゲージメントを深めることができれば、顧客は「大切にされている」と感じ、より強い興味やロイヤリティを抱くようになるでしょう。
SNS広告は、年齢、性別、興味関心、居住地など、詳細なターゲティングが可能です。これにより、自社のターゲットとなる外国人観光客層に絞って情報を届けることができ、より効率的な集客を実現します。例えば、特定の国の旅行者や、特定の趣味を持つ旅行者に向けたプロモーションを行うことが可能です。
従来の広告に比べて、SNSや口コミを活用した集客は、比較的低コストで始めることができます。特に、質の高いコンテンツを継続的に発信し、顧客との良好な関係を築くことで、自然な口コミが生まれ、広告費をかけずに集客に繋がる可能性があります。ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用も、費用を抑えつつ高い効果を得るための有効な手段です。
ここからは、5つの市場ごとに特にユーザー数の多いプラットフォームの特徴と口コミ傾向を紹介します。日本では馴染みのないものもありますが、同じ文化を持つ利用者が日常の使用言語で情報を収集・発信している場は、インバウンド集客において決して見逃せないものです。うまく活用し、大きな成果につなげていきましょう。
大衆点評(ダーヂョンディェンピン)は、中国最大の生活情報口コミサイトで、中国版「食べログ」や「ホットペッパー」とも称されます。飲食店だけでなく、ホテル、観光地、美容院、娯楽施設など、幅広いジャンルの情報が掲載されており、中国人の生活に深く浸透しています。月間アクティブユーザー数は2.8億人を超え、訪日中国人観光客の半数以上が旅行中に利用するとも言われています。
中国人観光客は、旅行前に大衆点評で情報収集し、口コミや評価を参考に訪れる場所を決める傾向が非常に強いです。これは、中国に根付く「口コミ文化」が大きく影響しており、マスメディアよりもユーザーのリアルな声を重視する傾向があります。
口コミの傾向としては、写真や動画を豊富に投稿し、詳細な体験談を共有するのが特徴です。特に、高評価の口コミが多い店舗は信頼されやすく集客に直結する一方で、ネガティブな口コミへの対応も重要で、迅速かつ誠実な返信が求められます。クーポンやプロモーション情報も重視されており、お得な情報が来店動機につながっているケースも散見されます。店舗側は、大衆点評での情報発信と口コミ管理を徹底することで、効果的なインバウンド集客に繋げることが可能です。
「樂吃購!(ラーチーゴー!日本)」は、台湾・香港(繁体中国語圏)向けの日本観光情報サイトです。月間ユニークユーザー数290万人(2024年5月時点)を誇り、台湾・香港人向けの日本の観光情報サイトとしてはトップシェアを占めています。
最大の特徴は、現地出身のライターが記事を作成している点です。これにより、日本の「伝えたい」情報が、台湾・香港の「知りたい」情報へと変換され、現地のニーズに合致したコンテンツが提供されています。バーゲンセールや桜の開花予想、花火大会の日程など、リアルタイムな旬の情報を多く掲載しているのも強みです。
口コミの傾向としては、台湾・香港の消費者が**「信頼できるリアルな情報」**を重視する傾向にあるため、実際に体験した人々の声や詳細なレビューが求められます。また、日本への旅行に際しては、クーポンや地図機能、オンライン予約の利便性なども重視されるため、樂吃購!ではこれらの機能も充実させています。単なる情報提供だけでなく、旅行計画から予約までをワンストップで完結できる利便性が、ユーザーからの高い支持に繋がっています。
NAVER(ネイバー)は、韓国で圧倒的なシェアを誇るポータルサイト兼検索エンジンです。Googleとは異なり、ニュース、天気、スポーツ、ショッピング、ブログ、カフェ(コミュニティ)、知識IN(Q&Aサービス)など、多様なコンテンツを一つのプラットフォームに集約しているのが特徴です。韓国のインターネットユーザーの約70%が日常的に利用しており、特に20代から30代の女性ユーザーが多い傾向にあります。
口コミに関しては、NAVERブログやNAVER Cafe、知識INといったユーザー生成コンテンツ(UGC)が非常に重視されます。韓国の消費者は、企業が発信する情報よりも、実際に利用した個人のリアルな体験談や評価を重視する傾向が強く、「レビュー命」と言われるほどです。そのため、商品やサービスを選ぶ際には、NAVERで検索し、ユーザーのブログレビューやコミュニティでの書き込み、Q&Aサイトでの意見などを綿密に確認する行動が一般的です。特に、NAVERブログに投稿された質の高いレビューは、信頼性を高め、購入検討に大きく影響を与えます。企業側も、NAVERブログのレビューを広告として活用できる機能を提供しており、口コミマーケティングが非常に活発に行われています。
Yelpは、世界30カ国以上で展開されている、ローカルビジネスに特化した世界最大級の口コミサイトです。飲食店だけでなく、美容院、病院、小売店、観光施設など、幅広い業種の情報を網羅しており、地域に密着した情報源として活用されています。
Yelpの最大の特徴は、実名登録を推奨している点です。これにより、投稿されるレビューの信頼性が高まり、ユーザーは安心して情報を参考にできます。また、独自のアルゴリズムでレビューの信憑性を判断し、「おすすめレビュー」と「そうでないレビュー」を振り分ける機能も備わっています。
口コミの傾向としては、肯定的なレビューが全体の58%を占めるなど、ポジティブな投稿が多い傾向が見られます。写真付きのレビューは、写真なしのレビューに比べてエンゲージメント率が200%も高くなるため、視覚的な情報も重視されています。また、長すぎるレビューよりも「ほどほどな長さ」(16~50単語)のレビューが最も信頼される傾向があります。
Tripadvisor(トリップアドバイザー)は、世界最大級の旅行口コミサイトです。2000年にアメリカで設立され、現在では世界49カ国・28言語に対応し、月間4.9億人以上の旅行者が利用しています。訪日外国人観光客の場合、ヨーロッパや中東から来日する人が多く利用しているのが特徴です。
宿泊施設、レストラン、観光名所、ツアー、航空会社など、あらゆる旅行関連施設の口コミや評価、写真などが掲載されており、旅行計画の重要な情報源となっています。
Tripadvisorの口コミは、実際に体験した旅行者の生の声が重視され、高い信頼性を持つのが特徴です。特に外国人観光客は、単なるサービスだけでなく、「日本ならではの文化体験ができたか」「他にないユニークな経験だったか」といった体験性への言及が多い傾向にあります。
また、視覚的な情報が重視されるため、写真や動画を伴う口コミは大きな影響力を持ちます。古い情報よりも最新の口コミが参考にされやすく、施設オーナーからの丁寧な返信がある口コミは、信頼度を高めます。日本のきめ細やかなサービスや清潔さが評価される一方で、文化的な違いから来る戸惑い(例:行列の長さ)が言及されることもあります。
SNS・口コミ施策は体系的に展開することが重要です。ターゲットごとに異なるニーズを理解し、適宜調整をしながら効果的な施策を続けていくことで、幅広い外国人旅行客へのアプローチが可能になります。ここからは、インバウンド集客のためにSNS・口コミ施策を実践する際のポイントを解説します。
世界中で利用されているSNSは多岐にわたり、地域や国によって主流のプラットフォームが異なります。例えば、中国ではWeChatやWeibo、韓国ではNaver BlogやInstagram、欧米ではFacebookやInstagram、TikTokなどが広く利用されています。自社のターゲットとなる外国人観光客がどのプラットフォームを日常的に利用しているかを調査し、最適なメディアを選定することが重要です。多言語対応はもちろんのこと、各プラットフォームの特性(写真重視、動画主体、テキスト中心など)を理解した上で、効果的な発信を心がけましょう。
外国人観光客が「行きたい」と感じるような、視覚的に訴えかけるコンテンツ作成が不可欠です。美しい写真や高品質な動画は、言語の壁を越えて魅力を伝える強力なツールとなります。単に施設や商品の紹介に留まらず、日本の文化、地域の魅力、体験の楽しさなど、五感を刺激するようなコンテンツを意識しましょう。ユーザーがシェアしたくなるような、感動や驚きを提供するストーリー性のあるコンテンツも効果的です。
良い口コミは、新規顧客獲得に直結します。積極的に口コミを促す仕組みを作りましょう。例えば、施設内にQRコードを設置して口コミサイトへの誘導を図る、SNSでの投稿を促すキャンペーンを実施するなどが考えられます。また、寄せられた口コミには、ポジティブ・ネガティブに関わらず、丁寧かつ迅速に返信することが重要です。感謝の言葉を伝えるだけでなく、ネガティブな意見には改善策を提示するなど、誠実な姿勢を見せることで、他の潜在顧客からの信頼も高まります。
UGC(User Generated Content)とは、顧客自身が作成・発信するコンテンツのことで、SNS時代のマーケティングにおいて非常に重要です。インフルエンサーだけでなく、一般の旅行者が撮影した写真や動画、感想は、企業が発信する情報よりも信頼性が高いと見なされやすい傾向にあります。UGCを積極的に共有(リポスト)することで、リアルな体験を伝えるとともに、発信してくれたユーザーとのエンゲージメントも深めることができます。ハッシュタグキャンペーンなども有効なUGC促進策です。
インバウンド集客におけるSNS・口コミ施策は、実施して終わりではありません。効果を最大化し、持続的な成果を生み出すためには、施策後の継続的な取り組みが不可欠です。
施策実施後は、まず効果測定を行い、どのような成果があったのかを把握します。具体的には、SNSの投稿リーチ数、エンゲージメント率(いいね、コメント、シェア数など)、ウェブサイトへの誘導数、予約・問い合わせ件数、口コミサイトでの評価変化などを数値で追跡します。これらのデータを詳細に分析することで、どのコンテンツが効果的だったのか、どのプラットフォームがターゲット層に響いたのか、どのようなメッセージが刺さったのかといった傾向を把握できます。これにより、次なる施策の方向性を見定めるための貴重な示唆を得られます。
効果測定とデータ分析の結果に基づき、改善点や課題を特定します。例えば、エンゲージメント率が低い投稿の傾向、特定の国からの反応が薄いプラットフォーム、ネガティブな口コミの共通点などを洗い出します。これらの課題に対して、コンテンツ内容の見直し、投稿タイミングの調整、ターゲット層の再設定、新しいプラットフォームの試用など、具体的な改善策を立案し、次の施策に反映させます。PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を継続的に回すことで、より効果的で洗練されたインバウンド集客施策へと進化させていくことができます。
一度施策を実施した後も、SNS上での情報発信は継続的に行うことが重要です。新しい季節の魅力、限定イベント、周辺地域の情報など、常に新鮮なコンテンツを提供し続けることで、フォロワーの興味を引きつけ、関係性を維持・強化します。また、コメントへの返信だけでなく、ユーザーの投稿への「いいね」やコメントなど、積極的なコミュニケーションを通じて、ファンとのコミュニティを構築していくことが、長期的なインバウンド集客の成功に繋がります。
インバウンド集客を成功させるには、ターゲット市場に合わせたSNSや口コミサイトでの情報発信が不可欠です。国や地域ごとの文化的背景、言語、購買行動の特性を深く理解し、それに合わせた魅力的な顧客体験を提供することが、外国人観光客からの高い評価やポジティブな口コミに繋がります。
また、施策を実行したら終わりではありません。必ず効果を測定し、データに基づいてPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回し続けることが重要です。
常にSNS・口コミ施策のバージョンアップを続け、インバウンド集客を成功させましょう。
私たち、インバウンドマーケティングジャパンは、
訪日外国人観光客の集客支援に”とんでもなく”特化。
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