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MEDIA インバウンドマーケティング総合研究所

【インバウンド市場 予測・分析レポート】2025年〜2030年の展望   観光立国の次なる一手とは?

2024年から続く訪日外国人旅行者の急増は、今後も継続する見込みです。コロナ禍を乗り越えたあとの急回復が想像以上に大きなうねりとなり、日本全国の観光関連事業者や自治体は好機を掴むべく、多様な受け入れ施策を進めています。
日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数統計の推移を見ると、今後も月間ベースで300万人超えが続く可能性があり、従来のインバウンド観光のイメージを大きく変えていく局面に入りました。
『2030年には訪日外国人旅行者数を年間6000万人に』という国家目標も掲げられ、いわゆる「観光立国」から次なる成長フェーズへのステップアップが注目を集めています。各種データや専門家インタビューによると、需要そのものだけでなく訪日客の出身国や主目的の多様化が顕著です。ホテルや交通インフラの飽和リスクを懸念する声もある一方で、新たな可能性を生むチャンスと捉える動きも少なくありません。

本レポートでは、最新のデータを精査したうえで、今後起こりうるインバウンド市場の拡大と変遷をわかりやすく整理します。
具体的には下記の4つの視点を中心に、2025年5月以降に迎えるであろう新局面と2030年の「訪日客6000万人時代」に向けた観光戦略の姿を探っていきます。

  • 2025年のインバウンド需要動向
  • 2030年に向けた外国人訪日者の国・地域別推移
  • 観光消費額とその質的変化
  • 今後、観光地・事業者が取るべき戦略

また、これらのトピックを網羅しながら、事業者に向けた実務上のポイント、政府・自治体が提示している各種振興策、さらには訪日客の多様化に対応した新しい形のサービスやプロダクトづくりについても詳しく解説していきます。

【2025年のインバウンド需要見通し】

ー 訪日客数は引き続き好調、月間300万人超えが続く ー

観光庁の「訪日外客統計」(2025年3月発表推計値)によると、2025年3月の訪日外客数が349万7千人となり、3月としては過去最高を更新しています。これによって年間4000万人の大台が射程に入ったことはもちろん、夏休みや冬季シーズンにかけてもさらなる伸びを期待できると分析できます。
企業側はこれに合わせて、宿泊施設の改装や新規開業、飲食店のメニュー多言語化などの準備を急ピッチで進めています。近年は簡易宿所や民泊、ワーケーション向けの長期滞在プランなど、従来とは異なるタイプの宿泊形態が注目を集めています。これらは個人旅行やグループ旅行のいずれも取り込みやすい柔軟な形態であるため、さらなるインバウンド需要の底上げに貢献する見込みです。

▶︎ 想定される今後の訪日客数(月別)

            ※JNTOデータを元にIMJが推計

観光関連企業は季節的なピークとオフピークの差を見極め、価格戦略や人材のシフト調整に力を入れる必要があります。特に人手不足が深刻化しやすい夏休みや年末年始のシーズンは、訪日客向けのプロモーションと同時に、円滑なサービス提供を可能にするオペレーション改革も急務です。
また、グリーンツーリズムなどの「地方体験型コンテンツ」を打ち出すことで、混雑する大都市以外へ旅行者を誘導し、観光過密によるクレームや地域住民とのトラブルを回避する動きも重要になります。地方エリアでは比較的施設に余裕があるため、高品質のサービスを提供しながらリピーターを獲得するチャンスが高まるはずです。

【2030年までのインバウンド市場全体の展望】

ー 年間6000万人の訪日達成は現実的な目標に ー

国土交通省観光庁が2025年3月に発表した「インバウンド高付加価値化に向けたモデル戦略」では、『2030年には、訪日外国人旅行者を6000万人に、消費額を15兆円に』という大胆な国家目標が示されました。2019年に3188万人を記録した実績があるものの、コロナ禍で一時的に減少した訪日客を短期間で大幅に取り戻し、さらなる上振れを期待するこの目標は、一見ハードルが高いように思われます。しかし2024~2025年にかけての勢いと多様化を考えると、達成の可能性は十分あると言えそうです。

                                ※観光庁データを元にIMJが作成

ここに示された予測は、航空業界やツアーオペレーター各社の国際線新規就航計画や、ビザ緩和などの外交的要素も影響するとみられます。今後アジア圏のみならず、欧米や中東、アフリカ、南米といった地域との交流が促進されれば、6000万人の達成がより現実味を帯びてくるでしょう。
一方で、宿泊施設・人材・交通網といった観光インフラ面の強化も欠かせません。東京や大阪、京都といった主要都市ではトップシーズンのホテル価格が高騰しており、訪日客の滞在コストが上昇する懸念があります。これに対し地方都市やリゾート地では相対的に空きがあるため、分散と地域活性化を同時に図る施策が今後さらに重視される見込みです。

【訪日客の出身国・地域の構成変化】

ー 旅行者ニーズの多様化・細分化が進む ー

2024年から2025年にかけて、中国市場の完全回復には時間を要するものの、徐々に安定し始めるという見立てがあります。一方、ASEANや北米、欧州、中東など、いわゆる長距離市場からの旅行者が増加しつつあります。航空会社が北米や欧州・中東からの直行便を拡充し、ラグジュアリー志向や文化体験志向の旅行客が多く流入している点も特徴です。団体旅行よりも個人旅行が重視される傾向もあり、各地域からの旅行者ニーズに合わせた商品設計が今後さらに重要となります。

▶︎ 国・地域別構成(2030年予測)

                         ※過去データを元にIMJが推計

ASEANや北米・欧州からの観光客は、名所旧跡を回るだけでなく、食文化や自然アクティビティ、オーダーメイド感覚のプレミアムツアーなど、より深化した旅の価値を求めています。地域別の嗜好をきめ細かく把握し、SNSなどを駆使したターゲティング型のプロモーションを行うことが、新規誘客やリピーター獲得には不可欠です。

【インバウンド消費額の変化と予測】

ー 消費額は着実に伸長する見込み ー

みずほ産業調査第76号の「日本産業の中期見通し」によると、買い物代消費額は、2025年度では年比+17.4%となり、2029年に向けても緩やかに伸びていくと予測されています。

そして、訪日旅行客の支出は買い物代だけではありません。宿泊費、食費、体験費においては大きく拡大していくことが期待されています。

                  ※引用:みずほ産業調査第76号の「日本産業の中期見通し」p73

ー 旅行支出は「モノ」から「コト」へ ー

観光庁の調査では、訪日外国人の1人あたり旅行支出が2024年時点で平均22万7千円に達したとされています。2019年の15万9千円と比較すると6万8千円ほど増加しており、これは単なる円安効果だけでなく高所得層の訪日比率上昇や、伝統文化・体験型コンテンツへの支出意欲が高まっていることが背景として考えられます。かつては電化製品やブランド品を大量購入する「爆買い」に象徴される消費トレンドが話題になりましたが、現在では地域特有の食文化や伝統工芸のワークショップ、自然体験など「そこでしか味わえない時間やストーリー」に対して積極的にお金を使う動きが顕著です。

▶︎ 今後の旅行消費の重点項目

  • 高級宿泊施設(温泉旅館、グランピングリゾートなど)
  • 体験型サービス(日本料理教室、武道体験、アウトドアツアー、伝統芸能鑑賞)
  • パーソナライズドツアー(少人数制、テーマ特化型など)
  • 長期滞在のサブスク型宿泊や地域食材を巡るフードツーリズム

アクティビティ関連に注目が集まる理由の1つとして、個人のSNS発信が大きく作用しています。「旅先で一度きりの体験をした」という満足感と、写真や動画をSNSに投稿する際のインパクトが大きいからです。これがまた別の旅行者の興味を刺激する好循環となります。
加えて、コロナ禍を経た今、旅行者は安全性と快適性の両立をより重視しています。混雑を避けながらオンリーワンの体験を得られる旅行プランは、少々価格が高くても選ばれる傾向が見られます。事業者にとっては、このような高付加価値商品の開発やプロモーション設計が今後の差別化のカギになるでしょう。

【日本政府の重点方針とは】

ー 高付加価値化と地方誘客 ー

観光庁や国交省の資料では、訪日客数の増加だけを追うのではなく「高付加価値化」と「地方部への誘客」を同時に推進する必要性が繰り返し強調されています。インフラ整備の観点だけでなく、滞在満足度を高め、消費額を引き上げる施策が2030年の目標実現には不可欠と考えられます。

▶︎ 高付加価値化の実現策

  • ラグジュアリーツーリズムの強化(高級旅館やチャーターヘリでの移動など)
  • 通訳ガイド・パーソナルコンシェルジュの育成(専門知識を持った人材による特別感の演出)
  • サステナブルな旅先設計(地域環境との共生、エコツーリズムの拡充)
  • リピーター向けの限定体験ツアー(定期的に内容を更新し、珍しい体験を随時提供)

▶︎ 地方誘客の鍵

  • 北陸、四国、中国地方の周遊パス拡充(公共交通を活用した移動を促す)
  • 地方空港の国際線誘致とLCC連携(訪日客にとっての新たな玄関口を創出)
  • 地域ごとの「食」「伝統芸能」「温泉」「自然」資源の再設計(ストーリー性を持たせ、ブランド価値を高める)
  • 地方版DMOのマーケティング力強化(データ活用と効果測定の徹底)

上記には観光庁や自治体が主導する取り組みだけでなく、事業者同士の連携や地域住民の協力体制も重要です。長距離移動を伴う外国人旅行者にとって、地方部のアクセスや情報不足がハードルになる場合があります。適切な情報発信や無料Wi-Fiの整備、二次交通(バスやタクシー等)の乗り継ぎのわかりやすさなども、誘客を支える下地として見逃せません。

【事業者が今すぐ取り組むべきこと】

ー 情報の発信と独自性の開発が鍵 ー

2025年以降も継続的なインバウンド需要を取り込むには、宿泊・飲食・レジャーなどの各事業者が連携しながら、柔軟に新しいサービスを企画する必要があります。大都市では飽和状態が懸念される一方、地方にはまだまだ伸びしろもあり、潜在需要獲得の余地が大きく残されています。

▶︎ デジタル発信の多言語対応

訪日客の情報源は口コミサイトやSNSが中心です。GoogleマップでのMEO対策やOTAサイトでの写真・動画素材の充実化、多言語翻訳の整備は必須になっています。特に英語・中国語だけでなく、韓国語やタイ語、スペイン語などをカバーする取り組みが評価されやすくなっています。アクセシビリティを改善するためにも、正確で簡潔な表現を心がけましょう。

▶︎ 体験商品のパッケージ化

これまで一般的に提供されてきた体験型ツアーに加え、農家民泊や和食作り体験、お城の夜間特別拝観など独自性の高い取り組みが注目され始めています。地域の職人と提携し、漆器の塗り体験や陶芸体験など、日本独自の技術に触れるプログラムをセットにすることで、単なる観光以上の「学びと交流」の場を提供できます。
また、小規模事業者同士が連携してエリア一帯の体験を統合し、「1泊2日で3つの伝統産業を体験」などの斬新なパッケージをつくるアイデアも効果的です。一度に複数の魅力を満喫できると、訪日客は短期間の滞在でも高い満足度を得られます

▶︎ 地方での特化型プロモーション

知名度が低い地方こそ、ネット上での発信や現地の体験を組み合わせた「穴場感」の演出がしやすくなるでしょう。歴史・食文化・自然を深く楽しめるコンテンツを用意し、写真映えの良いスポットやSNS拡散を意識したアクティビティ過程をプロモーションに組み込むと効果的です。外国人観光客のリピーターは常に「次はどこへ行こうか」と新鮮さを求めるため、まだ知られていない地方ほど差別化の余地があります

大都市を含む各地域がこの3つの施策をベースに磨き上げを行い、新しい需要を開拓することで、2030年に来る6000万人時代がより豊かなものになっていくでしょう。

【まとめ:6000万人時代の観光に向けて】

ー「来てもらう」から「選ばれる日本」へ ー

2030年に6000万人の訪日客を迎えるシナリオは、数字の大きさだけが先行するものではなく、日本全国の産業振興や地域の魅力再発見を伴う、大きな社会変革でもあります。外国人観光客は単なる「観光客」ではなく、文化や産業を繋ぐ架け橋としての役割を果たしています。観光客が増えれば経済効果が生まれるうえ、日本各地の伝統文化や新しいサービスが再定義され、国内外に向けて改めて広まっていくきっかけとなるでしょう。

しかし、その大前提としてインフラ整備は不可欠です。空港や鉄道のキャパシティ、通信インフラ、観光地での災害対策など、快適で安心な環境なしには持続可能な成長は実現できません。さらに、訪日客一人ひとりのニーズや嗜好、旅行スタイルの多様化に対応するには、細分化されたマーケットへのきめ細かいアプローチが必要になります。団体感覚よりも個人の特別体験を重視する流れは今後ますます強まると想定されます。

「誰を、どこで、どう楽しませるか」という視点を軸にして、都市や観光地それぞれが独自の強みを洗い出し、新しい旅行コンセプトを打ち立てることが最重要課題です。「地方と都市」、「モノとコト」、「短期と長期」、「団体と個人」といった二極的な概念を結びつける新たな観光モデルが求められています。日本国内に点在する豊富な観光資源を最大限に活かすためにも、今こそ事業者や地域コミュニティが連携し、世界各国からの旅行者を温かく受け入れる体制を整えましょう。

その第一歩として、多言語による情報発信の拡充やエンターテインメント要素の再設計、そして観光地固有のストーリーづくりが効果を発揮します。2030年のインバウンド観光が日本全体を活性化し、文化理解や産業創出、新しい人の流れを生み出す大きな原動力となるよう、今こそ多様な取り組みを進める好機です。観光事業者や地方自治体だけでなく、地域住民や他産業との連携を通じて、誰もがワクワクする観光立国へと進化していくことが期待されています。

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