日本政府観光局(JNTO)が公表した最新データによると、2025年4月の訪日外国人客数は3,908,900人(前年同月比28.5%増)で、過去最高であった 2025 年 1 月の 3,781,629 人を大きく上回り、単月過去最高を記録しました。単月としては、初めて 390 万人を突破しています。
また、大阪・関西万博が開幕し、日本国際博覧会協会から約1ヶ月間の延べ来場者数が241万9,509人(運営関係者やスタッフを除外)であることが報告されました。
本記事では、これらの2つのデータについて解説していきます。
【目次】
4月の押し上げ要因としては、引き続き円安傾向であることに加え、春の桜シーズンを迎えたことで多くの市場で訪日需要が高まっていることがあげられます。特に、前年は3月下旬からであったイースター休暇が4月中旬に変更となったことで、欧米豪や香港の大きな増加が見られました。また、反対に、東南アジアの一部や中東地域では、前年は4月中旬からであったイスラム教の断食明け休暇が3月末となったものの、訪日数の減少は見られず、追い風が吹いていることが伺えます。
韓国は72万人超(前年同月比9.1%増)、中国は76万人超(前年同月比43.4%増)、台湾は53万人超(前年同月比増16.9%)となり、いずれも定期便やチャーター便増加の影響もあり、4月として過去最高を記録しました。香港も26万人超(前年同月比42.9%増)と好調で、イースター休暇が4月中旬からとなった影響もあり、低迷していた前年対比伸び率が急激に復調しています。
また、東南アジアはタイ、インドネシアを除く全て43月として過去最高となりました。同様に、北米、豪州、欧州、も過去最高を更新しており、イースター休暇の変更だけに止まらない成長を見せています。さらに、中東地域においても、単月として過去最高を記録し続けています。
万博も始まり、夏のバケーションに向けてさらなる加速が期待されるところです。
2025年4月13日、大阪・夢洲(ゆめしま)をメイン会場として華々しく幕を開けた大阪・関西万博は、日本国内はもとより海外からも大きな注目を集めています。
日本国際博覧会協会は、6か月間にわたる会期全体で2,820万人の来場者数を目標に掲げ、1日あたりおよそ15万人の動員を想定しています。
しかし現実には、開幕日から5月10日までのおよそ1か月間で、延べ241万9,509人(運営関係者やスタッフを除外)の来場者を記録しており、累計としては目標の約1割弱にとどまるペースです。現時点で、当初予想された動員ペースを下回る実績となっていることもあり、今後のテコ入れ策や追加の集客施策に業界や行政、メディアの関心が高まっています。
来場者の年代別構成を見ると、「19歳以下」から「60歳代」までの各世代がそれぞれ11.4%~18.9%程度を占めており、世代間に大きな偏りが見受けられません。このデータからも、大阪万博が幅広い年齢層に訴求できていることが分かります。
また、海外からの訪問客、いわゆるインバウンド比率は全体の13%を占めています。地域別ではアジアからの来場者が40.5%と圧倒的多数を占め、特に中国・韓国・台湾といった東アジア圏からの来場が際立っているのが大きな特徴です。これにより、アジア圏における大阪万博のブランド力や情報発信力、また日本旅行自体への高い関心が明らかとなっています。
今後はより遠方(欧米豪中東)からの誘客も進めていきたいところです。
日本国際博覧会協会が来場者に対して行った意識調査(4月13日から30日までにパビリオン事前予約システム「万博ID」を利用した約150万人のうち、アンケート回答者10万2,720人)では、「また来場したい」と回答した人が84%(「そう思う」62.4%、「ややそう思う」21.6%)、「総合的に満足した」との回答が約80%と、極めて高水準の満足度が示されています。これは、一度訪れた人のうち大多数がリピーター予備軍化していること、および万博体験が全体に良好な印象を与えていることの証左です。
ただし、「会場内の案内表示が分かりにくい」「誘導サインが少ない」「ベビーカーや車椅子でのアクセス動線が不明瞭」など、ハード面(施設やインフラ、案内の分かりやすさ)に関しての改善要望も一定数寄せられています。特に初めて来場する層や外国人ゲストにとっては、案内サポートや多言語化の徹底でさらなる顧客満足度向上に努める必要がありそうです。
このように、大阪・関西万博はインバウンド需要にも確かな手応えを見せつつある一方、会期全体の目標達成にはさらなる集客強化と、来場体験の質的向上策が急務です。
今後も関連イベントやパビリオンの追加企画、プロモーションキャンペーンが多数予定されており、会期後半へ向けての話題や盛り上がり施策にも期待がかかります。チケット販売やリアル体験型イベント、デジタルコンテンツの充実など、ますますの集客に期待したいところです。
今後のインバウンド(訪日外国人旅行)市場の展望としては、大阪万博を起点にしながら、全国各地で繰り広げられる国際的イベントや季節ごとの伝統行事、さらには地域独自の文化資源を活用した観光施策が相乗効果を発揮し、更なる回復と拡大が見込まれます。特にコロナ禍からの日常回帰が進み、新しい旅行様式や消費行動が顕著となるなかで、地域密着型の国際イベントや、現地体験型・参加型の文化催事がアジア圏・欧米圏双方から強い支持を得ている点が大きな特徴です。
毎年夏には、日本を代表する伝統行事が開催されます。次のようなイベントは訪日客に大きな訴求力をもつことが予想され、受け入れ対策が急務となるでしょう。
2025年4月時点、訪日インバウンド市場は大阪・関西万博の開催を追い風とし、都心部はもとより地方都市や観光地でも活性化の動きが広がっています。万博により日本そのものの注目度・ブランド力が改めて高まり、多様な年代・地域の訪日客が増えています。今後は、万博開催終了後を見据え、日本各地の体験型観光やエコツーリズム、農泊・ホームステイといった地域密着型の新たな観光資源開発や、リピーターを志向した持続可能な観光戦略が不可欠です。
ビジネス環境やサービス面でも、生成AIの活用や多言語翻訳対応、キャッシュレス・スマート決済の導入促進など、テクノロジーと観光産業の融合が進んでいます。これにより、訪日客へのきめ細かい接客・サポートや、満足度向上のためのデータドリブンな分析・改善が求められる時代です。
また、Googleビジネスプロフィール(GBP)や、SNS(Instagram、X、TikTok等)を積極活用した情報発信・集客戦略が、より重要性を増しています。観光事業者・飲食店・小売店は自社Webサイトに加え、これらチャネルでの魅力的な発信、口コミ活用、効果測定を徹底することで、次の経営フェーズに向けた競争力とブランド力を高め続けていくことが不可欠です。
総じて2025年は、大阪万博という国際級イベントの開催をきっかけに、日本の観光とインバウンド市場は新たなステージに突入しています。地方創生との連動や、持続可能な観光資源の育成、先端テクノロジーと人の“おもてなし”の融合による価値創出が、今後の市場拡大にとっての最重要テーマとなるでしょう。
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