日本政府観光局(JNTO)が公表した推計値によると、2025年6月の訪日外国人観光客数は337万7,800人に達し、6月として過去最高を記録しました。これにより、2024年に7月で達成した年間2000万人の水準を上回り、過去最速となる6月での累計2,000万人を突破しました。
この好調の背景には、円安の継続に加え、主要な市場における需要の回復があります。市場別では、中国からの観光客が79万7,900人(前年同月比19.9%増)で韓国を抜き首位に返り咲きました。また、米国からの訪日客も34万5,100人と好調で、6月単月として過去最高を更新しました。さらに、シンガポールや中東地域を含む15の国・地域が6月として過去最高の訪日客数を記録しており、市場の多様化が進んでいます。
本記事では、過去最速で2000万人を達成した背景と市場ごとの傾向を解説します。
【目次】
日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年6月の訪日外国人観光客数は、推計値で337万7,800人となり、6月単月としては過去最高を記録しました。この数字は、2024年以降、毎月前年同月比で二桁の成長を続けてきた日本のインバウンド市場において、大きな節目となるものです。なぜなら、6月の伸び率は前年同月比7.6%増となり、初めて一桁台に落ち着いたからです。この「微増」という見出しは、絶対数が過去最高である一方で、成長の勢いがこれまでの爆発的な回復期から安定成長期へと移行したことを示唆しています。
例年、6月はゴールデンウィークの需要が落ち着き、本格的な夏休みシーズンに入るまでの端境期にあたります。しかし、2025年6月は、アジアや欧米の多くの市場でスクールホリデーが始まり、それに合わせた訪日需要が早期に高まったことが、過去最高の達成を後押ししました。特に、消費単価の高い欧米市場からの需要が、この時期のインバウンド消費を支える重要な要素となりました。
主な市場別の動向を見てみると、インバウンド市場のけん引役が明確になっています。
筆頭は、やはり中国です。6月の訪日客数は79万7,900人に達し、前月まで首位だった韓国を抜き、再び国・地域別でトップに返り咲きました。その伸び率は前年同月比19.9%増と最も高く、団体旅行の本格的な回復が始まったことが好調の要因と見られます。
一方、成長のもう一つの大きな柱として、アメリカからの観光客が挙げられます。34万5,100人が訪日し、これは前年同月比16.4%増という高い伸び率を示しました。米国市場からの訪日客数は、6月単月として過去最高を更新しており、円安に加え、日本の文化への関心の高まりが継続的な需要を生み出していることがうかがえます。
また、特定の国に依存しない市場の多様化も進んでいます。韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、インド、中東、欧州の主要国など、幅広い地域からの訪日客が増加しており、特に韓国、台湾、シンガポールを含む15の国・地域が、6月として過去最高の訪日客数を記録しました。これは、日本の観光魅力が特定の地域だけでなく、世界中に浸透していることの証と言えるでしょう。
2024年以降、訪日客数の前年同月比は一貫して二桁の伸びが続いていました。しかし、6月に初めて一桁の伸び率(7.6%増)にとどまったことは、需要が減退したのではなく、前年同月の訪日客数がすでに高い水準(約314万人)にあったため、伸びが鈍化したものと分析されます。この変化は、日本のインバウンド市場が「急速な回復期」から、より持続可能な「安定成長期」へと移行したことを示唆しています。
以上のことから、中国の本格的な回復と米国からの観光客数の継続的な好調が、今後の日本のインバウンド市場を牽引していくことは確実です。消費単価の高い欧米や中東市場の成長は、日本経済全体への波及効果をさらに高めることが期待されます。ただし、この安定した成長を維持するためには、観光地でのオーバーツーリズム(観光公害)対策や、地方への誘客を促す施策が、これまで以上に重要となるでしょう。
2025年6月に訪日外国人観光客数が過去最速で年間2,000万人を突破したことは、日本のインバウンド市場が新たなステージに入ったことを明確に示しています。この達成の速さを過去の記録と比較することで、その勢いの大きさがより鮮明になります。
2024年の年間訪日客数は、過去最高の3,310万人を記録しました。この年、累計2,000万人を突破したのは7月でした。しかし、2025年はその記録を1か月短縮し、わずか半年でこの大台を超えました。この驚異的なペースは、2024年の高水準をさらに上回る勢いで、日本の観光需要が拡大し続けていることを物語っています。
この勢いが維持されれば、2025年の年間訪日客数は4,000万人に迫る可能性も出てきています。日本のインバウンド市場は、パンデミックからの「回復」フェーズを終え、「安定的な成長」フェーズへと移行したと言えるでしょう。
2025年6月(人) | 2024年6月比(%) | |
総数 | 3,377,880 | +7.6 |
韓国 | 729,800 | +3.8 |
中国 | 797,900 | +19.9 |
台湾 | 585,000 | +1.8 |
香港 | 166,800 | -33.4 |
タイ | 52,100 | -4.6 |
シンガポール | 68,600 | +16.4 |
豪州 | 59,400 | -3.9 |
米国 | 345,100 | +16.4 |
英国 | 27,100 | +16.2 |
フランス | 17,400 | +17.1 |
中東地域 | 14,086 | +23.5 |
ここからは、この成長を牽引した主な市場ごとの動向について、それぞれの背景とともに解説します。
日本のインバウンドを支える東アジア市場では、特に中国が力強い回復を見せました。
アジアに次ぐ市場として、欧米や中東からの観光客も引き続き増加傾向にあり、市場の多様化をけん引しています。
東南アジア市場も、長期休暇に合わせて順調な成長を見せています。
日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年6月の訪日外国人客数の統計は、日本のインバウンド市場に新たな歴史を刻むものでした。2025年1月から6月までの半年間の累計で、訪日客数が2,151万8,100人に達し、過去に年間2,000万人を達成したどの年よりも速いペースでこの大台を突破しました。この数字は、2024年に記録した年間3,000万人突破をさらに上回る勢いで推移しており、日本が世界の旅行先としてかつてないほどの魅力を放っていることを示しています。
この驚異的なペースを可能にした背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
日本のインバウンド市場を強力に後押ししているのが、長期化する円安基調です。海外の旅行者にとって、日本の旅行費用が相対的に安く感じられる大きなメリットとなっており、特にショッピングや宿泊、食事など、多額の消費を伴う旅行のハードルが大幅に下がりました。この経済的な追い風は、単に旅行者数を増やすだけでなく、一人当たりの消費額を維持する上でも重要な役割を果たしています。
訪日客数の大半を占めるアジア市場の需要が、パンデミック前の水準に完全に回復したことも、過去最速での2,000万人突破の鍵となりました。中国では、団体旅行が本格的に再開したことにより、月間訪日客数が再びトップに返り咲くなど、需要が爆発的に増加しています。また、韓国や台湾からの旅行者は、安定的に高い水準を維持しており、近隣市場の力強さが全体の数字を力強く押し上げています。
円安に加えて、日本への文化的な関心の高まりが、欧米豪市場からの旅行者を増やしています。アメリカやヨーロッパからの旅行者は、長期滞在や高額な消費をする傾向が強く、日本のインバウンド市場の質を高める上で欠かせない存在です。アニメや漫画といったポップカルチャーだけでなく、伝統文化、美食、四季折々の自然景観など、日本の多様な魅力がこれらの市場の継続的な成長を支えています。
国際線の航空便数がパンデミック前の水準にほぼ戻ったことも、過去最速の達成に不可欠でした。特に、地方空港への国際便やLCC(格安航空会社)の便が増加したことで、旅行者はより容易に日本を訪れることができるようになりました。この供給体制の安定化は、地方への観光客の流れを促進し、オーバーツーリズムの課題解決にも貢献する可能性があります。
2025年4月から6月期の日本のインバウンド消費は、訪日客数の増加と円安基調を背景に、極めて好調に推移しました。観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査(2025年4-6月期1次速報)」に基づき、概要を解説します。
2025年4-6月期の訪日外国人による総消費額は2兆5,250億円に達しました。これは、前年同期(2024年4-6月期)に比べて18.0%増という大幅な伸びであり、四半期として過去最高を記録しました。しかし、訪日客数が過去最速で増加した一方で、一人当たり旅行支出は23.9万円と、前年同期と比べてほぼ横ばい(-0.1%)にとどまりました。これは、一人ひとりの支出額が劇的に増えたというよりも、訪日客数そのものが大きく増加したことが、消費額全体の押し上げにつながったことを示しています。
消費額を国・地域別に見ると、その市場規模が明確になります。
圧倒的な首位を維持しているのは中国です。消費額は5,160億円で、全体の20.4%を占めました。
次いで米国(3,566億円)、台湾(2,915億円)が続き、この構図が消費の主軸を形成しています。
一方で、一人当たりの支出額に注目すると、欧米からの旅行者が高い単価を維持しています。欧州では英国が44.4万円で最も高く、次いでイタリア(39.8万円)、ドイツ(39.6万円)が続きました。これは、欧米からの旅行者が比較的長期滞在し、高額な宿泊や体験に支出する傾向が強いことを示しています。
今回の消費動向調査で特に注目すべきは、費目別の変化です。前年同期と比較して、宿泊費と娯楽・サービス費の構成比が増加し、買物代の構成比が減少する傾向が明確になりました。このデータは、単にモノを買う「モノ消費」から、日本ならではの宿泊体験やアクティビティを重視する「コト消費」へと、訪日客の支出の軸足が本格的に移行していることを裏付けています。訪日客は、より質の高い日本での「体験」に価値を見出し、そこに支出する傾向を強めているのです。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年6月の訪日外国人観光客数は337万人を超え、6月として過去最高を記録しました。この結果、1月から6月までの上半期累計が過去最速で2,000万人を突破し、日本のインバウンド市場が新たな成長フェーズに入ったことを示しています。
市場別では、中国が首位に返り咲き、米国も過去最高を更新するなど、多様な国・地域からの需要が高まっています。特に、欧米や中東からの高単価な旅行者が増加し、市場の質が向上しました。
観光庁の調査では、4〜6月期のインバウンド消費額は2兆5,250億円と過去最高を記録している点も注目すべきポイントです。一人当たりの支出額は横ばいでしたが、消費行動は「モノ消費」から「コト消費」へと明確にシフトしており、宿泊や体験サービスへの支出が増加しています。
下半期に向けては、このような訪日客の行動変容をいかに素早く捉えるかが重要です。市場のトレンドは常に変化するため、データをアップデートし続け、リアルタイムなニーズに応える施策を打つことが、持続的なインバウンド市場の成長に不可欠となります。
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