【事例紹介】観光地と飲食店が連携したインバウンド集客の事例3選と成功をつかむステップを解説

インバウンド集客に「連携」が不可欠な理由

訪日外国人観光客にとって、旅行は単なる場所の移動ではなく、その土地の文化や人々と触れ合う「体験」そのものです。近年、彼らが最も楽しみにしているのが、「日本の食」と「地域の体験」であることは、多くの調査でも明らかになっています。しかし、観光地も飲食店も、個々に集客活動を行うだけでは、その真の魅力を伝えきることはできません。
たとえば、歴史ある寺院を訪れた旅行者が、周辺にどんな名店があるかを知らないまま、チェーン店やコンビニエンスストアで食事を済ませてしまうケースは少なくありません。これは、せっかくの旅行体験が断片的なものになってしまうだけでなく、地域全体の消費機会を逃していることになります。
こうした課題を解決するために不可欠なのが、観光地と飲食店の強力な「連携」です。単に「お客様を送る・送られる」という関係を超え、両者が一体となって「ストーリーのある旅」を創り出すことで、より大きな相乗効果を生み出します。

具体的には、以下のようなメリットが期待できます。

• 滞在時間の延長と消費額の増加
  観光体験と食事を組み合わせた魅力的なプランは、旅行客の滞在意欲を高め、地域での消費を促します。
• SNSでの拡散力アップ
  「絶景を見た後に、その絶景をモチーフにした料理を食べた」といった一連の体験は、SNSで共有されやすいため、口コミでの新規顧客獲得につながります。
• 地域の魅力の再発見
  連携を通じて、観光地は飲食店の強みを知り、飲食店は地域の新たな魅力を発見するなど、両者にとって新たな価値創造の機会となります。

この記事では、具体的な成功事例を通して、観光地と飲食店が連携してインバウンド集客を成功させるためのヒントを詳しく解説します。

観光地と飲食店が連携したインバウンド集客のモデルケース

ここでは、具体的な成功事例を「北海道」「京都」「沖縄」の3つの地域から紹介します。各事例から、自社の事業に活かせるヒントを見つけ出しましょう。

事例1：【北海道】「食」と「自然」が融合した体験型インバウンド集客

北海道の成功事例は、地域が持つ本質的な魅力を「体験」という形で提供した点にあります。このモデルケースでは、壮大な自然景観を誇る観光地（例：大雪山国立公園）と、そこで採れる旬の食材を活かしたレストランが連携しました。

• 連携の具体的な流れ
  • 相互送客
    観光客は絶景スポットでアクティビティを楽しんだ後、提携レストランで特典付きの食事を楽しむことができます。
  • ストーリーの創造
    レストランでは、料理の素材が「目の前の山で採れたもの」であることを伝え、料理を通じて観光体験を追体験してもらいます。これにより、単なる食事ではなく、旅の記憶を深める「食の体験」へと昇華させました。
  • プロモーション
    観光地側は「絶景と美食を楽しむ旅」というテーマでプロモーションを行い、レストランは「この絶景をバックにした特別な料理」というキャッチフレーズで集客をサポートしました。

この連携により、両者は個別に集客する以上の効果を上げ、観光客はより深く北海道の魅力を堪能できるようになったのです。

事例2：【京都】「伝統文化」と「食文化」が織りなすインバウンド集客

京都の事例は、日本の「伝統」という付加価値を最大限に活かした連携です。ここでは、歴史的な寺社仏閣や伝統工芸の体験施設が、老舗の京料理店や和菓子店と連携しました。

• 連携の具体的な流れ
  • ストーリー性のある体験
    観光客はまず、寺院で座禅や写経の体験をした後、近くの料亭で精進料理を味わいます。ここでは、料理の背景にある禅の思想や、季節感を大切にする日本の心も伝えられます。
  • 相互送客
    寺院の体験チケットに料亭の割引クーポンを添付したり、料亭で食事をしたお客様に近隣の伝統工芸体験の割引券を渡したりしました。
  • ターゲットに合わせたプロモーション
    日本の精神文化や食文化に強い関心を持つ層（特に欧米やアジアの富裕層）をターゲットに、ウェブサイトやSNSで「京都の伝統を五感で味わう旅」と題してプロモーションを行いました。

この連携は、単なる観光と食事の組み合わせを超え、日本の精神性と食文化を深く理解できる唯一無二の旅を創り出し、高い満足度とリピーターの獲得につながりました。

事例3：【沖縄】「リゾート」と「地元の味」でファンを増やすインバウンド集客

沖縄の事例は、リゾート地という特性を活かし、滞在中の満足度を向上させるための連携です。ホテルやマリンアクティビティ施設が、地元の郷土料理を提供する飲食店と連携しました。

• 連携の具体的な流れ
  • 情報提供
    ホテルはチェックイン時に、近隣の飲食店マップを配布し、観光客が地元の味を楽しめるようにサポートしました。
  • 特別感の演出
    提携飲食店では、ホテルのルームキーやマップを提示すると、ウェルカムドリンクや特産品のサービスを受けられるようにしました。これにより、観光客は「地元の人しか知らない特別なお店」に来たような感覚を味わえます。
  • 交流の機会
    飲食店では、地元の人が集まるようなイベントを企画し、観光客と地元住民が交流できる機会を創出しました。

この連携は、リゾートという閉鎖的な空間から一歩踏み出し、地域全体を観光資源として捉えることで、より深く沖縄の魅力を体験してもらい、リピーターを増やすことに成功しました。

成功事例に共通する3つの鍵

成功している観光地と飲食店の連携には、いくつかの共通点があります。ここでは、特に重要な3つの鍵を掘り下げて解説します。

1. ターゲットを明確にする：誰に、何を、どのように提供するか

インバウンド集客を成功させる上で最も重要なステップは、ターゲットを明確にすることです。「すべての人」を狙う戦略は、結果として「誰にも響かない」ことにつながってしまうからです。
たとえば、「美食を求める中国の富裕層」なのか、「自然体験を好む欧米のファミリー層」なのか、ターゲットによって彼らが求める体験や、情報収集の手段は大きく異なります。

• ターゲットを絞るメリット
  • ニーズの把握が容易になる
    ターゲットの国籍、年齢、旅行スタイル（個人旅行か団体旅行か）などを具体的に想定することで、彼らが「何を求めているか」を深く理解できます。
  • 的確なプロモーションが可能になる
    旅行者がどのSNS（Instagram, Facebook, Redなど）を利用しているか、どの旅行サイトや情報源を参考にしているかを把握することで、無駄のない効果的な情報発信ができます。
  • 連携プランが具体化する
    ターゲットの好みに合わせた連携プランを練ることができます。例えば、日本の食文化に関心が高い層には、老舗料亭と連携した「料理体験プラン」が響くでしょう。一方、冒険を求める層には、トレッキングツアーと山小屋レストランが連携した「絶景トレッキングとジビエ料理のプラン」が魅力的に映ります。

ターゲットを明確にすることは、マーケティングの第一歩であり、成功への道筋を描くための羅針盤となります。

2. 「相互送客」の仕組みを構築する：両者がwin-winになる具体的な仕掛け

インバウンド集客における連携の成功は、単なる「提携」ではなく、両者がメリットを享受できる「相互送客」の仕組みをいかに構築するかにかかっています。顧客を送り合うだけでなく、そのプロセス自体が新たな価値を生み出すことが重要です。
ここでは、相互送客の具体的な手法をさらに掘り下げてみましょう。

• ストーリー性のある企画
  観光地と飲食店の連携を、単発のキャンペーンではなく、ストーリー性のある体験プランとして設計します。「絶景の夕日を眺めた後に、その夕日をイメージしたカクテルを飲む」といった企画は、顧客の記憶に残りやすく、SNSでの拡散を促します。
• 共同特典とプロモーション
  割引クーポンや限定メニューの提供は基本的な手法ですが、より効果を高めるためには、「なぜその特典があるのか」を明確に伝えることが重要です。例えば、「このチケットをお持ちの方限定で、〇〇の食材を使った特別メニューをご提供」とすることで、特別感と地域へのこだわりをアピールできます。また、双方のSNSアカウントで積極的に連携情報を発信することで、互いのフォロワーにリーチできます。
• 相互評価とフィードバック
  連携を継続的に成功させるためには、顧客の動向やフィードバックを共有する仕組みが不可欠です。例えば、観光地で配布したクーポンがどの飲食店で何枚利用されたかを共有したり、顧客からの感想を定期的にミーティングで話し合ったりすることで、次の改善策を共に考えることができます。

これらの工夫によって、単なる顧客の誘導を超え、地域のブランド価値を高めるような強力な連携を築くことが可能になります。

3. 情報発信と多言語対応を徹底する：信頼と魅力を伝えるためのコミュニケーション

インバウンド集客において、情報発信は単なる告知ではなく、顧客との信頼関係を築くための生命線となります。旅行者が日本にいる間に、そして帰国後も、スムーズに情報を得られる環境を整えることが成功の鍵となります。
具体的には、以下の3つの柱を意識して施策を進めることが重要です。

• 多言語対応の徹底
  • ホームページ
    ウェブサイトを多言語化することは基本中の基本です。特に、英語、中国語（簡体字）、韓国語は必須と言えるでしょう。単なる機械翻訳ではなく、自然な表現で地域の魅力を伝えられるプロの翻訳も検討すべきです。
  • 店内ツール
    メニュー表、商品説明のポップ、案内板などを多言語化することで、顧客の「わからない」という不安を解消し、より快適な滞在を提供できます。
  • デジタルツール
    AI翻訳機や翻訳アプリ、QRコードを活用したデジタルメニューなど、最新のテクノロジーを導入することで、接客の質を向上させることができます。
• SNSを活用した魅力の発信と拡散
  • 視覚的な訴求
    InstagramやTikTokなど、ビジュアル重視のSNSはインバウンド集客と非常に相性が良いです。料理の美しい写真や動画、観光地の絶景、楽しそうな体験の様子などを積極的に投稿しましょう。
  • ハッシュタグ戦略
    ターゲットとなる国の言語で人気のハッシュタグをリサーチし、投稿に含めることで、潜在的な顧客にリーチできます。
  • ユーザー参加型企画
    「#（あなたの地域名）」といったハッシュタグをつけて投稿してもらうキャンペーンを実施することで、UGC（ユーザー生成コンテンツ）を増やし、自然な形で情報を拡散できます。
• 口コミサイトの積極的な活用
  • ポジティブな評価の可視化
    TripAdvisorやGoogleレビューなど、海外の旅行者が頻繁に利用する口コミサイトに登録し、高評価を積極的にアピールしましょう。
  • 返信によるエンゲージメント
    投稿されたレビューには、良い評価にも悪い評価にも丁寧に返信することが重要です。特に、ネガティブなフィードバックには真摯に対応することで、顧客の不満を解消するだけでなく、他のユーザーからの信頼も得られます。
  • 情報の一元管理
    連携している観光地や飲食店が、それぞれの口コミサイトの情報を共有し、共同で改善策を話し合うことで、地域全体のホスピタリティ向上につながります。

これらの情報発信の「鍵」を意識することで、単なる集客ツールとしてではなく、顧客との継続的な関係を築き、地域のファンを増やすことが可能になります。

事例から学ぶ成功への道筋：いますぐ始められるアクション

これまでの成功事例には、共通して「小さく始めて、継続的に改善する」という姿勢が見られます。ここでは、明日からでも始められる具体的なアクションを6つのステップに分けて解説します。

アクション1：ターゲットを徹底的に深掘りする

インバウンド集客は、「誰に、何を、どのように届けるか」を明確にすることで成功への道が開けます。ターゲットを単に国籍や年齢で分けるのではなく、彼らの旅行に対する考え方や行動様式から深掘りしてみましょう。

• 旅行の目的と動機
  • なぜ日本を選んだのか？: 桜や紅葉といった「季節」の美しさ、アニメやゲームといった「サブカルチャー」への熱狂、あるいは和食や日本酒といった「食」文化への探究心など、来日の動機を深く掘り下げます。
  • 旅行中に何をしたいか？: 「伝統文化を学びたい」「地元の生活に触れたい」「非日常のアドベンチャーを体験したい」といった具体的なニーズを把握し、それに合わせた体験を設計します。
• 旅行のスタイルと消費傾向
  • 一人旅: 自由な行動を好み、地元の人々との予期せぬ出会いや、穴場スポットの探索を楽しみにしています。
  • カップル・夫婦: ロマンチックな雰囲気や、二人だけの特別な時間を過ごせるような、プライベート感を重視した体験を求めます。
  • 家族連れ: 子供も楽しめる安全でユニークなアクティビティや、利便性の高い食事、移動手段を重視します。
  • 消費傾向: 費用を惜しまず特別な体験にお金をかける「富裕層」なのか、コスパを重視し、地元の人々が集まる安価で美味しい店を探す「バックパッカー」なのかで、提供すべき商品や価格帯が大きく変わってきます。

ターゲットを明確にすることは、マーケティングの第一歩であり、成功への道筋を描くための羅針盤となります。

アクション2：自社の「強み」を明確に言語化する

ターゲットが求めているものを理解したら、次に自社の提供価値を再定義します。競合との差別化を図るため、「唯一無二の魅力」を言語化しましょう。

• 観光地の場合：モノからコトへ、体験の価値を掘り下げる
  • 自然: 単に「絶景」として見せるだけでなく、「ここでしか見られない固有種との出会い」や「特別な気候条件がもたらす絶景を五感で感じるハイキングツアー」など、具体的な付加価値をアピールします。絶景の「なぜ美しいのか」という科学的なストーリーや、そこに生きる生物との繋がりを伝えることで、より深い感動を提供できます。
  • 歴史・文化: 「歴史的建造物」をただ見学するのではなく、その背景にある「感動的な物語や歴史上の人物の逸話」をガイドが語り継いだり、体験を通して学べる「精神性や哲学」に焦点を当てます。例えば、茶道体験では「おもてなしの心」を、写経体験では「無心になる時間」を提供するといったように、体験の奥にある価値を明確にします。
• 飲食店の場合：料理の背景にある物語を語る
  • 食材: 「珍しい食材」をただ提供するのではなく、「生産者の顔が見える有機栽培野菜」や「早朝に漁師から直接仕入れた新鮮な魚介」など、食材が持つストーリーや生産者のこだわりを伝えます。これにより、料理が持つ価値を飛躍的に高めることができます。
  • 料理: 「特別な調理法」だけでなく、料理に込められた「文化的な背景」や「季節の移り変わり」を説明することで、単なる食事を超えた体験を提供します。例えば、会席料理では料理の順番に込められた意味を解説したり、地酒を提供する際には地域の歴史や文化を伝えることで、食事全体がひとつの物語となります。

アクション3：物理・デジタル両面で「相互送客」の仕組みを構築する

連携は、単なる紹介ではなく、両者がwin-winになるような「具体的な仕掛け」が重要です。顧客が自然に双方の施設を訪れたくなるような仕組みを作りましょう。
物理的なツールは、顧客に「今、どこに行けばいいのか」を具体的に示す強力な手段です。観光地と飲食店のスタッフが直接手渡しすることで、顧客に安心感を与え、次の行動を促します。

• 特典付きパンフレットやカード
  観光地で配布するパンフレットに、提携飲食店の限定メニュー割引クーポンを付ける。単なる割引ではなく、「このチケットをお持ちの方だけ」という特別感を演出することが鍵です。
  共同で作成したスタンプカードやポイントカードも効果的です。例えば、観光地でスタンプを一つ押してもらい、提携飲食店で食事をするともう一つ押印。スタンプが貯まると特別なプレゼントがもらえるといった仕組みは、顧客の周遊意欲を高めます。
• 店内での情報提供
  飲食店のテーブルに、観光地のパンフレットや美しい写真集を置く。単なる地図ではなく、「この料理の食材が採れた山」や「食後の散策におすすめの絶景ポイント」といったストーリーを紐づけた地図を制作することで、顧客の興味を喚起します。
  提携先の観光地で撮影した高画質の写真や動画を店内でループ再生することで、視覚的に魅力をアピールします。

デジタルツールは、旅行前から旅行後まで、顧客との接点を広げる上で欠かせません。物理的な連携と組み合わせることで、さらに強力な集客ツールとなります。

• SNSでの連携
  • 親近感のある日常の発信
    互いのSNSアカウントで、相手の魅力を定期的に投稿し、相互にタグ付けする。例えば、観光地のスタッフが提携店で食事をする様子や、飲食店の店主が観光地を訪れる様子を発信することで、「地域の仲間」という親近感が生まれます。
  • 共同ライブ配信やリール動画
    観光地の絶景を背景に、提携飲食店のシェフが料理を作る様子をライブ配信するなど、両者の魅力を同時に伝える企画は顧客のエンゲージメントを高めます。
• 情報の一元管理:
  • 共同ハッシュタグの活用
    「#（地域名）美食旅」や「#（地域名）体験」など、互いの投稿で使うハッシュタグを統一し、情報を一元化することで、検索からの流入を増やします。
  • 共同ウェブサイト・ランディングページ
    連携プランや特典情報を集約したウェブサイトやランディングページを共同で制作することで、顧客は情報収集のストレスなく旅の計画を立てることができます。予約システムを統合することも、顧客の利便性を飛躍的に向上させます。

アクション4：ストーリー性のある「共同プロモーション」を企画する

単発のキャンペーンではなく、顧客の心に響く「ストーリー」を軸にした共同企画を打ち立てます。顧客の「思い出」を豊かにし、誰かに話したくなるような特別な体験を創出することが、効果的なプロモーションの鍵となります。
たとえば、顧客が旅の主人公となり、観光地と飲食店を巡ることで一つの物語を完成させるような体験を設計しましょう。

• 「物語を辿る」スタンプラリー
  • 目的の設定
    「伝説の侍が愛した酒と料理を巡る旅」や「昔話に登場する精霊と出会うスタンプラリー」など、テーマ性を持たせることで顧客の興味を惹きつけます。
  • 特典の工夫
    スタンプをコンプリートした参加者には、特別な体験（例：料理教室への招待、限定土産の贈呈）や、提携店で使える高額割引券を提供するなど、周遊意欲を高める魅力的なインセンティブを用意します。QRコードを読み取ることでスタンプが押せるデジタルスタンプラリーは、紙媒体よりも手軽でデータ分析にも活用できます。
• 「非日常を体験する」デジタルパス
  • 手軽な周遊
    観光地の入場券と飲食店の割引券がセットになったデジタルパスを共同で販売します。一つのQRコードで複数のサービスを利用できるため、顧客はチケットやクーポンを管理する手間が省けます。
  • データ活用
    デジタルパスの利用データを分析することで、どの連携が人気か、どのような行動パターンで顧客が移動しているかなどを把握し、次のプロモーションに活かせます。

思わず写真や動画を撮りたくなるような仕掛けを作り、顧客自身が情報を発信してくれる仕組みを構築しするのも良い方法です。

• UGC（ユーザー生成コンテンツ）キャンペーン
  • 魅力的なテーマ設定
    共同でフォトコンテストなどを企画し、「絶景と美食の旅」といったテーマでSNSへの投稿を促します。例えば、 インスタ映えする特別な料理と、その料理をモチーフにした観光地の風景写真をセットで投稿してもらうなど、両者の魅力を同時に発信できる企画が効果的です。
  • ハッシュタグの統一
    「#絶景美食旅」「#〇〇（地域名）体験」など、分かりやすく覚えやすいハッシュタグを参加者に使ってもらうことで、情報が拡散されやすくなります。
• 共同企画メニューと限定商品の開発
  • ストーリーを込めたメニュー
    観光地の絶景をモチーフにした限定ドリンクや、地域の歴史にちなんだデザートなど、両者のコラボレーションだからこそ実現できる特別なメニューを期間限定で提供します。
  • 限定商品の共同開発
    観光地のキャラクターをモチーフにしたパッケージのお菓子や、名産品を活かしたドリンクなど、「ここでしか買えない」限定商品を共同で開発することで、お土産需要を喚起します。

アクション5：多言語対応と情報発信を徹底する

どんなに素晴らしい連携企画も、情報が届かなければ意味がありません。顧客が旅行前からストレスなく情報を得られる環境を整備することが不可欠です。

• ウェブサイトの多言語化
  ウェブサイトを多言語化することは基本中の基本です。英語、中国語（簡体字）、韓国語は必須とし、ターゲット層が利用する言語に合わせて対応言語を広げましょう。単なる機械翻訳ではなく、地域の魅力を自然に伝えられるプロの翻訳も検討すべきです。
• 店内ツールの多言語化
  メニュー表、商品説明のポップ、案内板などを多言語化することで、顧客が安心してサービスを受けられる環境を整えます。また、QRコードを設置してデジタルメニューへ誘導することも、利便性を高める上で非常に有効です。
• デジタルツールの導入
  AI翻訳機や翻訳アプリ、QRコードを活用したデジタルメニューなど、最新のテクノロジーを導入することで、接客の質を向上させることができます。

SNSを活用して魅力を発信する際は、次のことを心がけてください。

• ビジュアル重視の投稿
  InstagramやTikTokなど、ビジュアルに特化したSNSはインバウンド集客に非常に相性が良いです。写真映えする料理や美しい風景の動画、楽しそうな体験の様子などを積極的に投稿しましょう。
• 効果的なハッシュタグ戦略
  ターゲットとなる国の言語で人気のハッシュタグをリサーチし、投稿に含めることで、潜在的な顧客に効率的にリーチできます。
• ユーザー参加型企画
  「#（あなたの地域名）」といったハッシュタグをつけて投稿してもらうフォトコンテストなどを実施することで、UGC（ユーザー生成コンテンツ）を増やし、自然な形で情報を拡散できます。

口コミサイトを積極的に活用し、良い評価を集めることも集客に直結します。
TripAdvisorやGoogleレビューなど、海外の旅行者が頻繁に利用する口コミサイトに登録し、高評価を積極的にアピールしましょう。 投稿されたレビューには、良い評価にも悪い評価にも丁寧に返信することが重要です。特にネガティブなフィードバックには真摯に対応することで、他のユーザーからの信頼も得られます。

アクション6：顧客フィードバックをもとに継続的に改善する

連携は一度きりのイベントではなく、顧客の反応をもとに継続的に改善を繰り返すことで初めて成功へと繋がります。このプロセスは、顧客との信頼関係を築き、地域全体の魅力を高めるための「チーム」を育てることにも繋がります。
そのためには、顧客の「生の声」を聞くことが重要です。
口頭でのヒアリングだけでなく、多言語対応のアンケート、SNSのコメント、海外の旅行者が頻繁に利用する口コミサイト（TripAdvisor、Googleレビューなど）を定期的に確認しましょう。
それだけでなく、観光地と飲食店がそれぞれ得た顧客の感想を共有する機会（定例ミーティングなど）を設けることが欠かせません。互いにフィードバックを共有すると、両者が協力して改善策を検討することができます。
ネガティブなフィードバックには、すぐに対応してチャンスに変えることが肝心です。
厳しい意見も、連携を強化する貴重なヒントです。否定的なレビューに対しても丁寧かつ誠実に返信することで、顧客の不満を解消するだけでなく、他の潜在顧客からの信頼も得られます。
「予約システムが分かりにくかった」という声があれば、共同で改善を検討し、「コミュニケーションが難しかった」という意見があれば、双方で多言語対応ツールの導入を話し合うなど、協力して課題の解決を図りましょう。

まとめ：観光地との連携は地域の魅力を高める重要な戦略

インバウンド集客において観光地と飲食店の強力な「連携」は不可欠です。単なる集客にとどまらず、両者が一体となって「ストーリーのある旅」を創出することで、相乗効果を生み出すことができます。
成功の鍵は、ターゲットの深掘り、相互送客の仕組み構築、そして情報発信と多言語対応の徹底です。特に、物理的な特典やデジタルな連携、ストーリー性のある共同プロモーションは、旅の思い出を豊かにします。
北海道、京都、沖縄の事例から学べるのは、顧客の声をもとに継続的な改善を繰り返すことの重要性です。この記事を参考に、貴社もぜひ「連携」を軸としたインバウンド集客戦略の第一歩を踏み出してください。