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MEDIA インバウンドマーケティング総合研究所

そのインバウンド施策は「無駄打ち」?赤字を防ぐROI算出法と見極めの3ポイント

インバウンド需要の回復に伴い、訪日客誘致の競争は激化しています。しかし、多額の予算を投じながらも「成果が見えない」と悩む担当者は少なくありません。闇雲に施策を打つだけでは、貴重なリソースを浪費する「手段の目的化」に陥ってしまいます。 本記事では、費用対効果が合わない施策を論理的に見極める判断基準と、限られた予算を最適化するための具体的なプロセスを解説します。無駄な投資を抑え、確実な収益向上を目指すための指針としてご活用ください。

なぜ「費用対効果(ROI)」が合わないインバウンド施策が生まれるのか?

インバウンド施策が失敗に終わる背景には、単なる「運」や「コンテンツの質」だけではない、構造的な問題が潜んでいます。

目標設定(KPI)と実際の売上の乖離

最も多い失敗は、PV数やフォロワー数、いいね数といった「バニティ・メトリクス(虚栄の指標)」のみを追いかけてしまうことです。
SNSで100万回再生されても、それが来店や予約に1件も繋がらなければ、ビジネスとしての費用対効果はゼロです。
「認知」が目的なのか「獲得」が目的なのか、最終的な売上(KGI)から逆算した中間指標が設定されていないことが根本的な原因です。

ターゲット選定とチャネルのミスマッチ

「とりあえず英語で発信すればいい」「流行っているからTikTokを使う」といった安易なチャネル選定も、ROIを悪化させます。国や地域によって、旅行の情報収集に使うプラットフォームは大きく異なります。例えば、台湾ならFacebook、タイならX(旧Twitter)やYouTubeの比重が高いなど、ターゲットの行動特性と媒体がズレていると、どれだけ予算をかけても情報は届きません。

短期的な成果を求めすぎる構造的な問題

インバウンドは「海外からの移動」を伴うため、情報接触から実際の来訪まで数ヶ月〜1年のタイムラグが発生します。
この時間軸を考慮せずに「広告を出して1ヶ月で売上が上がらないから失敗だ」と判断してしまうと、将来の優良顧客を逃すことになります。

費用対効果が合わない施策を見極める「3つの判断基準」

施策を「継続」すべきか「見直す」べきか。その判断を下すための3つの客観的指標を紹介します。

基準1.顧客獲得単価(CAC)とLTVの比較

マーケティングの鉄則は、「一人の顧客を獲得するコスト(CAC)」が「その顧客が生み出す利益(LTV)」を下回ることです。

  • CACの算出: 施策費 ÷ 獲得顧客数

  • 判断の目安
    インバウンドの場合、リピート率が低くなりがちなため、初回来店時の粗利でCACを回収できているか、あるいは紹介(UGC)による波及効果を含めてプラスになっているかを厳しく評価する必要があります。

基準2.カスタマージャーニーにおける「寄与度」

その施策が「予約のきっかけ」になったのか、それとも「最後の一押し」になったのかを分析します。

  • 認知施策
    直接の予約にはならずとも、その後の指名検索を増やしているか。

  • 獲得施策
    予約サイトへの遷移率(CTR)やクーポン利用率が基準を満たしているか。
    「どこにも寄与していない(誰にも届いていない、あるいは行動させていない)」施策は即刻中止の対象です。

3.競合比較と市場トレンドの乖離

自社の数字だけでなく、競合や市場全体と比較します。
「競合はインフルエンサー経由で成功しているのに、自社の施策だけ反応がない」場合、それは媒体の問題ではなく、自社のオファー(特典や訴求内容)が市場のニーズと乖離している可能性が高いといえます。

【実践】インバウンド施策の「継続」か「撤退」かを決めるプロセス

感情的な判断を排除し、以下の3ステップで評価を下しましょう。

ステップ1:定量データによる「見える化」

まずはデータを統合します。Googleアナリティクス(GA4)での流入分析はもちろん、店頭での「どこでうちを知りましたか?」というアンケートが最も強力なデータになります。
SNSのインサイト数値と、実際の予約・来店データを突き合わせ、「売上に直結している流入経路」を特定してください。

ステップ2:外部要因と内部要因の切り分け

成果が出ない原因を切り分けます。

  • 外部要因
    円安・円高の影響、航空便の欠航、現地の政情不安など(自社ではコントロール不可)。

  • 内部要因
    コンテンツの魅力不足、言語対応の不備、導線設計のミス(自社で改善可能)。
    外部要因が原因であれば「一時休止」、内部要因であれば「改善」という選択肢が生まれます。

ステップ3:改善シミュレーションの実施

「あといくら投資すれば、CPA(顧客獲得単価)が適正ラインまで下がるか」を計算します。
クリエイティブの変更やターゲットの微調整だけで改善が見込めない場合、その施策は「撤退」し、成果が出ている他のチャネルに予算を寄せるべきです。

注意!「すぐには止めない方がいい」インバウンド施策とは?

一方で、短期間の数字だけで判断してはいけない施策もあります。

  • ブランディング・認知拡大を目的とした施策
    大規模な動画広告やPRイベントなどは、直接的な予約には繋がりづらいものの、「行きたい場所リスト」へのランクインを狙うものです。
    これらは半年〜1年スパンでの指名検索数の推移で判断します。

  • SEOやコンテンツマーケティングなどの「資産型」施策
    ブログ記事や多言語サイトの整備は、公開から検索順位が安定するまで時間がかかります。しかし一度上位に入れば中長期的に低コストで集客し続ける資産となるため、安易な中断は禁物です。

予算をドブに捨てないためのインバウンド最適化戦略

最後に、失敗のリスクを最小化するための運用術をお伝えします。

  • マイクロインフルエンサーの活用によるコスト抑制
    フォロワー数数万人の「特定の趣味・地域」に強いインフルエンサーは、フォロワーとの親密度が高く、低単価で高いエンゲージメントが期待できます。

  • データに基づいた「勝ち筋」への予算集中(選択と集中)
    すべての国、すべての媒体に薄く予算を撒くのは最悪の戦略です。データを見て、「この国のこの層には効いている」という20%の勝ち筋に、予算の80%を投入してください。

  • PDCAを高速で回すための組織体制の作り方
    「一度決めた年間予算だから変えられない」という硬直化した体制を打破しましょう。月次でデータを振り返り、柔軟に予算配分を変更できる意思決定の速さがROI最大化の鍵を握ります。

まとめ:インバウンド施策は「定期的評価」が成功の鍵

インバウンド施策において、費用対効果の最適化は一過性の作業ではなく、継続的なプロセスです。
「なんとなく」で続けている施策を勇気を持って停止し、確かなデータに基づいた「勝ち筋」へリソースを集中させることが、収益最大化への最短ルートとなります。
市場環境や訪日客のニーズは常に変化しているため、KPIを定期的に見直し、柔軟に軌道修正できる組織体制を整えましょう
本記事で紹介した判断基準を指針として、無駄のない持続可能な集客を実現してください。

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