訪日客が使うKlookとは?日本国内のアクティビティ数と、選ばれる理由を2026年データから読み解く
訪日客が旅行アプリを開いて最初に探すのは、もはや「泊まる場所」だけではありません。「何を体験するか」です。その入口の一つになっているのが、Klook(クルック)という予約プラットフォーム。名前は聞いたことがあっても、実態をつかめていない飲食店オーナーや、多店舗を展開する外食チェーンの担当者は少なくないはずです。
【目次】
2025年の訪日客数は4,268万人と過去最高を更新し、初めて4,000万人の大台を突破しました*1。2026年に入ってからも、上半期(1〜6月)の累計は2,108万人に達しています*2。これだけの人が動いていても、「予約が入る店」と「素通りされる店」の差は縮まるどころか広がっています。裏を返せば、訪日客が実際に「予約を完結させる場所」に自店の情報が載っているかどうかで、勝負はすでについているとも言えます。
本記事では、Klookの日本国内アクティビティ登録の実態と、2026年最新の訪日データを照らし合わせながら、飲食店・体験施設、そして外食チェーンがどう向き合うべきかを整理します。
Klookとは?訪日客の「体験の探し方」を変えたプラットフォーム
Klookは、訪日客が観光・体験・食を予約するために使う旅行プラットフォームです。宿泊予約が主戦場だった従来のサービスとは、そもそも狙っている場所が違います。
OTAとの違い:「泊まる」を解決するか、「何をするか」を解決するか
Booking.comやAgodaに代表される従来型のOTA(Online Travel Agency=オンライン旅行代理店)は、宿泊や航空券の予約に強みを持ってきました。旅の「移動」と「泊まる」を押さえる存在です。
一方でKlookは、そこからもう一歩踏み込みます。2014年に香港で創業し、現地ツアーや文化体験、レストラン予約、交通パスまでを一つのアプリにまとめてきたプラットフォームで、特にアジア圏での認知度の高さが特徴です*3。訪日客は旅マエ(出発前)から旅ナカ(滞在中)まで、同じアプリの中で検索から決済まで完結できます。この「一元化された使いやすさ」こそが、選ばれている理由と考えられます。
- OTA:宿泊・航空券が主戦場。「どこに泊まるか」を解決する
- Klook:体験・アクティビティ・食が主戦場。「何をするか」を解決する
誰が使っているのか:中心は東南アジア、拡大するのは東アジア
Klookのメインユーザー層は、タイ・シンガポール・マレーシアといった東南アジア発の訪日客だと見られています。これらの国々では、Klookが旅行アプリの定番として定着しているためです。
加えて、東アジアからの利用も広がっています。2025年の国・地域別訪日客数を見ると、韓国が945.9万人で最多、次いで中国909.6万人、台湾676.3万人、米国330.7万人、香港251.7万人という顔ぶれです*1。韓国は前年比7.3%増と着実に、中国は日中関係の影響を受けつつも30.3%増と大きく伸びており、これら上位市場の動向がKlookの利用層とも重なっています*1。中心となるのは20〜40代の「体験重視派」。名所を巡るだけでなく、その土地ならではの時間を求める世代です。
2026年最新データで見る、訪日需要とKlookアクティビティ登録の伸び
数字を追うと、市場全体の熱量と、その中身の変化が見えてきます。ここで押さえておきたいのは、「増え続けている」という単純な話ではなく、伸び方そのものが変わってきているという点です。
訪日客数の伸びは「急拡大」から「高止まりしながらの定着」へ
2025年は前年(3,687万人)から15.8%増という大きな伸びを記録しました*1。ところが2026年に入ると様子が変わります。1〜3月の累計は前年同期比+1.4%、上半期累計の2,108万人も、伸び自体は緩やかになっています*2。
これは需要が失速しているという意味ではありません。急成長のフェーズを終え、4,000万人規模という「新しい水準」で定着しつつあると捉えるのが実態に近いでしょう。だからこそ、総数の伸びだけを見て「まだまだ増えるはず」と楽観するのではなく、「今の4,000万人規模の中で、自店にどう届けるか」を考える段階に入っています。
Klook日本国内アクティビティ数の傾向:文化体験と飲食体験が厚みを増す
Klookに登録される日本国内のアクティビティ数は、公式に公開される総数こそ時期により変動しますが、増加基調にあると見られます。背景にあるのは、体験そのものを目的とする訪日客が増えていることです。
業種で見ると、次のような型に整理できます。
- 文化体験:茶道・和菓子作り・着物レンタルなど、最も層が厚いカテゴリーと見られます
- 飲食関連:レストラン予約に加え、食べ歩きツアーや料理教室など体験型が広がっています
- アウトドア:トレッキング・ラフティングなど、地方エリアで伸びが目立ちます
- 観光ツアー:バス・タクシー・ガイド付きの周遊プラン
特に注目したいのは飲食関連です。単なる「食事の予約」から、「食べること自体が体験商品になる」流れへと広がりつつあります。
地方分散という追い風:ゴールデンルート一極集中の崩れ
Klookの登録は、これまで東京・京都・大阪・福岡といった玄関口に集中する傾向がありました。しかし2026年に入り、その構図が少しずつ崩れ始めています。
実際、JNTOが公表した2025年の分析によれば、三大都市圏の宿泊者数の伸びが前年比0.8%減にとどまった一方、地方部では14.1%増と大きく伸びています*4。政府が掲げる地方誘客の方針とも重なる動きで、東京〜富士山〜京都〜大阪という定番ルートを一度体験したリピーターが、次はより深い場所を求めて動き始めていることの表れと考えられます。地方の飲食店や体験施設にとって、これは参入のチャンスと言えるかもしれません。
なぜ今、飲食店・体験施設にとってKlookが無視できないのか
Klook登録数の伸びは、単なるアプリの流行ではありません。訪日客の行動そのものが変わった結果です。ここでは、飲食店や体験施設、そして複数店舗を抱える外食チェーンにとって、何が変わったのかを整理します。
予約行動の変化:「旅ナカで偶然出会う」から「旅マエに予約して訪れる」へ
これまでの集客導線は、ガイドブックや宿泊施設のフロントを起点にするものが主流でした。旅ナカで偶然出会う、という流れです。
新しい導線はこれを根本から変えます。訪日客はKlookアプリで出発前に検索し、直接予約して来店します。来日する時点ですでに予約が埋まっているケースが増えているのです。多言語対応・決済代行・キャンセル保険がプラットフォーム側である程度統一されているため、自店で一から仕組みを整える負担が軽い点もメリットです。自社での多言語運用が難しい場合は、IMJのようなインバウンド専門の支援サービスに設計を任せる方法もあります。
外食チェーンにとっての意味:本部管理と店舗ごとの個性、両立の鍵
個人店だけでなく、複数店舗を展開する外食チェーンにとっても、Klookは検討する価値のある導線です。ただし、個人店とは違う視点が必要になります。
外食チェーンの場合、本部がアカウントを一元管理しつつ、店舗ごとの個性(立地・メニュー・体験内容)をどう見せるかが課題になりがちです。全店舗を同じ説明文で並べてしまうと、訪日客には「どの店舗を選べばいいか」が伝わりません。店舗ごとに異なる体験価値(例えば、ある店舗は個室での会席体験、別の店舗は屋台風のカジュアルさなど)を打ち出すことで、チェーンの規模を活かしながら選ばれる可能性が高まります。多店舗展開だからこそ、本部でノウハウを蓄積し、横展開できる点は個人店にはない強みです。
登録するだけでは埋もれるという現実
ここで冷静になるべき点もあります。Klookに登録したからといって、自動的に予約が入るわけではありません。登録数が増えるということは、それだけ競合も増えるということです。評価点、レビュー数、写真の質、価格設定で差がつかなければ、検索結果の中に埋もれてしまいます。だからこそ、登録の先にある「差別化」が問われます。
Klookで選ばれるための3つの実践ポイント
登録は入口にすぎません。ここからは、実際に予約を呼び込むための3つのポイントを見ていきましょう。
ポイント1:行為ではなく「得られる体験」を語る
Klookでは、単なる店舗紹介やメニュー説明では響きにくい傾向があります。「訪日客がこの体験で何を得るのか」を描くことが重要です。
例えば「茶道レッスン」という表記ではなく、「茶道の先生と過ごす45分間、日本文化の心に触れる時間」といった見せ方です。行為ではなく、そこで得られる時間や感情を伝えます。写真も同様で、過度に加工された画像より、素の美しさや「本物らしさ」が伝わる一枚のほうが信頼を得やすいと考えられます。
ポイント2:価格は「安さ」より「納得感」で設計する
Klookの利用者は、必ずしも「安さ」だけを求めているわけではありません。むしろ「価格に見合う体験かどうか」を判断基準にしている層が多いと見られます。
極端な低価格競争に消耗するより、送迎・軽食・記念品といった「ちょっとした特別感」を付加価値として設計するほうが、結果的に選ばれやすくなります。
ポイント3:最初のレビューをどう積むかが、その後を左右する
Klookのレビューは、訪日客にとってGoogleマップの口コミと同等の判断材料です。星の数とコメントが、そのまま予約の可否を左右します。
一般的に、高評価の比率が一定水準を下回ると新規客が入りづらくなる傾向があるとされ、最初の数件のレビューをどう積み上げるかが重要になります。加えて、ネガティブなレビューへの多言語での丁寧な返信は、悪印象を和らげるだけでなく、それを見ている他の潜在顧客への信頼メッセージにもなります。
Googleマップ・食べログとの使い分け
集客ツールとして見たとき、それぞれに得意分野が異なります。すべてを一つに絞るのではなく、役割で使い分けることが第一歩です。
| プラットフォーム | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| Googleマップ | 位置情報・口コミの厚みが強い | 予約・決済機能が弱い |
| 食べログ | 国内評価の蓄積が厚い | 海外・多言語対応が限定的 |
| Klook | 予約・決済・多言語対応が一元化されている | 掲載競争が激化しつつある |
Googleマップや食べログが果たす役割は今も重要です。ただ、「訪日客が予約を完結させる場所」という点では、Klookが一歩抜けていると言えます。
よくある質問:Klook登録・活用に関する疑問
Klookの登録費用・手数料はどれくらいかかるのか?
登録自体、および掲載自体は基本的に無料とされています*5。費用が発生するのは予約成立時の販売手数料で、20%程度からが目安とされています*5。カテゴリーや契約条件によって変わるため、正式な料率は登録時に必ず確認しましょう。
外食チェーンでもKlookに登録できるのか?
可能です。むしろ複数店舗を持つ外食チェーンは、本部でノウハウを蓄積し、成功パターンを他店舗に横展開できる点で有利に働く面があります。ただし、全店舗を同じ説明文で並べるのではなく、店舗ごとの体験価値を個別に打ち出す工夫が欠かせません。
Klookの登録に必要な言語対応は何を準備すればいいのか?
最低限そろえたいのは、英語・中国語(簡体字・繁体字)です。加えて、主要利用層であるタイ語や韓国語への対応があれば、より広い層にリーチできます。体験の説明文は、Klook側の翻訳支援に頼りきるのではなく、ニュアンスが伝わるよう自社でも多言語を準備するのが理想です。クレーム対応時の多言語メールサポート体制も欠かせません。
Klookのキャンセルポリシーはどう設定すべきか?
すべてのプランを厳格に固める必要はありません。訪日客は柔軟なキャンセルポリシーを重視する傾向があるためです。「数日前までキャンセル無料」といった柔軟な設定のほうが、予約のハードルを下げやすいと考えられます。Klookはキャンセル保険を提供しているため、店舗側のリスクは限定的です。
Klookに登録した後、実際の予約対応で気をつけることは?
まず押さえたいのは返信スピードです。訪日客からの問い合わせには、できるだけ早く、目安として24時間以内に返信することが望ましいとされています。翻訳ツールとネイティブチェックを組み合わせた多言語対応の体制があると安心です。当日キャンセルや時間変更への柔軟な対応が、そのまま高評価につながります。
まとめ:Klookの登録数データが示す「2026年の体験インバウンド戦略」
Klookの日本国内アクティビティ数が増えているのは、訪日客の行動が「泊まる・見る」から「体験する・深く関わる」へと変わってきた証拠です。訪日客数の伸び自体は2025年の急拡大から、2026年は高止まりしながら定着するフェーズに入っています*1,*2。そのなかで、地方への分散という新しい流れも加速しています*4。飲食店や体験施設、そして外食チェーンにとって、Klookはもはや「あれば良い」選択肢ではなく、検討すべき集客インフラの一つになりつつあります。
ただし、登録するだけでは埋もれてしまいます。今週は、自社が該当するKlookのカテゴリーを確認し、競合の登録内容と自店の評価スコアを見比べてみてください。差が見つかれば、それが今月取り組むべきことになります。ストーリーの描き方、価格帯の設計、レビュー対応——手をつける順番はおのずと見えてくるはずです。
インバウンドマーケティングジャパンでは、MEO対策代行から多言語対応支援、SNSマーケティング、Klookをはじめとする海外OTA活用まで、体験型インバウンド集客を一気通貫で支援しています。「Klookに登録したいが多言語対応が不安」「登録したのに予約が伸びない」「外食チェーンとして複数店舗をどう展開すればいいか分からない」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。