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MEDIA インバウンドマーケティング総合研究所

【現場必見】訪日外国人からのクレーム対応マニュアル—文化の違いを理解するコツと英語例文集—

インバウンド需要の回復に伴い、現場では外国人客からのクレーム対応に苦慮する声が増えています。日本人向けの接客が通用せず、良かれと思った対応が逆効果になり、思わぬトラブルに繋がるケースも少なくありません。
本記事では、インバウンド特有のクレームの原因を紐解き、スムーズな解決に導く5ステップや、現場ですぐに使える英語フレーズを徹底解説します。

なぜ訪日外国人からのクレームは起きるのか?3つの主な原因

インバウンド接客において、日本での「当たり前」は通用しません。クレームを単なる「怒り」として捉えるのではなく、その背景にある根本的な原因を理解することが、解決への第一歩となります。

「おもてなし」と「契約」の認識のズレ

日本における接客は、相手の要望を先回りして叶える「阿吽の呼吸」や「おもてなし」に基づいています。しかし、欧米諸国をはじめとする多くの外国では、サービスは「対価を支払って結ぶ契約」であるという認識が主流です。 そのため、「書いてあることと違う」「聞いていたサービスが含まれていない」といった点に対して非常にシビアです。

日本側の「これくらいは理解してくれるだろう」という曖昧な対応が、「約束を破られた」という強い不信感に繋がり、深刻なクレームへと発展してしまいます。

文化・習慣・宗教の違い

日本の生活習慣やマナーは、外国人にとって馴染みのないものばかりです。例えば、「土足厳禁」のルールを知らずに注意され、恥をかかされたと感じるケースや、公共の場での「静寂」を求める日本の文化が、活発に会話を楽しみたいグループには「冷遇」と受け取られることもあります。

また、宗教上の理由や主義による食事制限(ベジタリアン、ハラール等)への対応不足も大きな要因です。日本では「好き嫌い」の範疇と捉えられがちですが、彼らにとっては自身のアイデンティティや健康に関わる重大な問題であることを忘れてはいけません。

言語の壁によるコミュニケーションエラー

言葉が通じないことによる「説明不足」は、最大のトラブルの種です。単に英語が話せるかどうかだけでなく、「理由(Why)」を伝えられていないことが問題となります。

例えば、満席で入店を断る際、単に「No」と言うだけでは不親切ですが、「なぜダメなのか(予約でいっぱいなのか、食材がないのか)」を論理的に説明できないと、相手は「差別された」と誤解してしまうリスクがあります。

コミュニケーションの不足が、本来防げたはずの小さな不満を大きな怒りに変えてしまうのです。

現場で困らない!クレーム対応の基本5ステップ

外国人客からのクレームを円満に解決するためには、感情論ではなく「論理的かつ誠実なプロセス」が求められます。以下の5ステップに沿って対応することで、トラブルの早期沈静化が可能になります。

ステップ1:最後まで話を聴き、共感を示す(Active Listening)

相手が話し始めたら、途中で遮らずに最後まで聴くことが最も重要です。欧米圏などでは、自分の主張をすべて出し切ることで「正当に扱われている」と感じます。
ここで必要なのは、内容への同意ではなく、相手の「不快な感情」に対する共感です。「それは大変でしたね(I understand your frustration)」といった言葉をかけ、真摯に耳を傾けている姿勢(アイコンタクトや相槌)を示しましょう。

ステップ2:何に対して「謝罪」するかを明確にする

日本では「とりあえず謝る」ことで場を収めようとしがちですが、これは逆効果です。不備を認めたと誤解され、過剰な補償を要求される原因にもなります。 謝罪する際は、「不快な思いをさせたこと」や「事実として起きたミス」に限定して伝えます。
「不便をおかけして申し訳ありません(I apologize for the inconvenience)」のように、具体的に何に対して申し訳なく思っているのかを明確にすることが、信頼回復のポイントです。

ステップ3:原因を論理的に説明する(Reasoning)

外国人客は「なぜそうなったのか」という理由(Reason)を強く求めます。「ルールですから」という説明は、彼らにとって最も不誠実な回答の一つです。 「安全上の理由で(For safety reasons)」「他のお客様のプライバシーを守るために」など、ルールの背景にある合理的な根拠を説明してください。
論理的な納得感があれば、多くの場合、相手は冷静さを取り戻してくれます。

ステップ4:解決策・代替案を提示する(Solution)

単に「できません(No)」で終わらせず、今できる最善の策を提示します。この際、複数の選択肢を提示して相手に選んでもらうのが効果的です。 「今すぐの入店はできませんが、30分後なら優先的にご案内できます。または、近隣の系列店を紹介しましょうか?」といった提案です。
自分で解決策を選んだという感覚が、相手の満足度を高め、不満を解消させます。

ステップ5:感謝で締めくくる

対応の最後には、貴重な意見をくれたことへの感謝を伝えます。「教えていただいたおかげで、サービスを改善できます(Thank you for bringing this to our attention)」と伝えることで、クレームを「攻撃」ではなく「建設的なフィードバック」として受け止めたことを示します。
最後をポジティブな言葉で結ぶことで、相手の中に「誠実な店だった」という良い印象を残すことができます。

【事例別】現場で使えるクレーム対応の英語フレーズ集

実際の現場でよくあるトラブルに対し、相手の心情を汲み取りつつ論理的に解決へ導くフレーズを紹介します。

予約・待ち時間に関する不満

予約トラブルは「楽しみにしていた予定が狂う」ため、強い怒りに繋がりやすい事例です。

  • 「予約したはずなのに名前がない」と言われた場合
    “I’m sorry, we can’t find your name on our list. Could you please show me your confirmation email?
    (申し訳ございません、リストにお名前が見当たりません。予約確定のメールを見せていただけますか?)

    ▶ こちらのミスと決めつけず、まずは「確認(Confirmation)」を促すことが重要です。

  • 「待ち時間が長すぎる」という不満に対して
    “I apologize for the wait. We are very busy right now, but we should have your table ready in about 15 minutes.
    (お待たせして申し訳ありません。ただいま大変混み合っておりますが、あと15分ほどでお席をご用意できる予定です。)

    「Soon(すぐに)」という曖昧な表現ではなく、具体的な数字(15分など)を出すことで納得感が高まります。

設備・サービスへの不満

設備の不備は、その場で解決できるかどうかが鍵となります。

  • 「Wi-Fiが繋がらない」と言われた場合
    “I’m sorry for the trouble. Let me check the connection, or you can try this alternative password.
    (ご不便をおかけして申し訳ありません。接続を確認します、もしくは、こちらの別のパスワードを試していただけますか?)

  • 「部屋が汚い(清掃が不十分)」という指摘に対して
    “I apologize for the condition of the room. We will send someone to clean it right away. Alternatively, we can move you to a different room.”
    (お部屋の状態についてお詫び申し上げます。すぐにスタッフを清掃に向かわせます。あるいは、別のお部屋へ移動していただくことも可能です。)

  • 「注文と違う料理が届いた」という指摘に対して
    “Oh, I am terribly sorry about that.It will take about 10 minutes to prepare the correct one. Can you wait? Please enjoy this one on the house while you wait.”
    (大変失礼しました。ご注文いただいたお料理をお持ちするのに10分程度かかります。お待ちいただけますか?こちらはサービスですので、よろしければお召し上がりください)

    ▶正しい料理を提供する際や、会計の際に
    ”Here is the correct dish. Thank you for your patience.”
    (こちらがご注文の品です。お待たせして申し訳ありません。)
    と一言添えましょう。
    注文を受ける際に
    “Let me repeat your order.”(ご注文を繰り返します)
    と確認するのも大切です。

接客・マナーに関するトラブル

文化的な期待値の差から、「失礼だ」と感じられてしまうケースです。

  • 「店員の態度が冷たい」と感じられた場合のフォロー
    “I’m sorry if our service seemed unfriendly. That was not our intention. We value your business and will do our best to improve.”
    (もし私どものサービスが不親切に感じられたのであれば、申し訳ございません。決してそのような意図はございませんでした。大切なお客様として、改善に努めます。)

    ▶「そのような意図はなかった(Not our intention)」と伝えることで、悪意がないことを明確にします。

支払い・会計時のトラブル

お金に関するトラブルは信頼関係を直撃するため、迅速かつ慎重な対応が必要です。

  • 「二重請求を疑われた」場合
    “I apologize for the confusion. Let me double-check the transaction right now. If there’s an error, we will correct it immediately.”
    (混乱を招き申し訳ありません。ただちに決済内容を再確認いたします。もし間違いがあれば、すぐに修正いたします。)

  • 「クレジットカードが使えない」と言われた場合
    “I’m sorry, we only accept cash at this moment. There is an ATM located in the convenience store across the street.”
    (申し訳ございませんが、現在は現金のみの取り扱いとなっております。向かいのコンビニにATMがございます。)

    単に「使えない」だけでなく、近くのATMの場所を教えるなどの解決策を添えてください。

外国人客の怒りを鎮める際の「NG行動」

良かれと思って取った行動が、文化の壁によって怒りに油を注いでしまうことがあります。現場で特に注意すべき3つのNG行動を確認しておきましょう。

曖昧な笑い(愛想笑い)

日本では場の空気を和らげようとして笑みを浮かべることがありますが、多くの外国では、深刻な場面での笑顔は「問題を軽視している」「客を馬鹿にしている」と受け取られます。
クレーム対応時は、相手の心情に寄り添った真剣で誠実な表情を保つことが不可欠です。

「No」と言わずに濁す

「善処します」「検討します」といった日本的な曖昧な表現は、外国人には「Yes」と誤解されがちです。できないことを曖昧にすると、後で「できると言ったのに嘘をつかれた」とさらに大きなトラブルに発展します。
不可能なことは明確に「No」と伝え、その理由をセットで説明する方が誠実であると評価されます。

過剰な謙遜

自分を低く見せることで許しを請う姿勢は、プロフェッショナルな接客を求める層には「責任感や能力の欠如」と映る場合があります。
卑屈になるのではなく、あくまでも対等なプロとして事実に基づいた説明と解決策の提示に集中しましょう。

クレームを未然に防ぐためのインバウンド対策

トラブルの多くは「情報の不足」から生まれます。未然に防ぐための環境作りが、スタッフの負担軽減に直結します。

多言語サインとピクトグラムの活用

文字だけの案内は、視認性が低く見落とされるリスクがあります。土足厳禁、禁煙、ゴミの分別などの重要ルールは、一目で意味が通じるピクトグラム(視覚記号)を活用しましょう。英語だけでなく、訪日客の多い中国語や韓国語を併記することで、ルールの周知徹底が図れます。

ハウスルール(規約)の明文化

「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、チェックイン時や注文時に「ハウスルール(利用規約)」を記載した書面を提示し、確認してもらうフローを作りましょう。キャンセル料や深夜の騒音、禁止事項を事前に共有しておくことで、「契約(ルール)に基づいた毅然とした対応」が可能になります。

翻訳ツール・ツールの導入

言葉の壁によるストレスは、双方にとって大きな負担です。POCKETALK(ポケトーク)のような音声翻訳機や、AI翻訳アプリ、指差し確認シートなどを導入しましょう。完璧な外国語を話すことよりも、「ツールを使ってでもあなたの話を理解しようとしている」という姿勢そのものが、客の安心感と満足度を高めます。

まとめ:クレーム対応は最大のブランディング機会

訪日外国人からのクレーム対応は、単なるトラブル処理ではなく、店舗の信頼を築く最大のブランディング機会です。言葉の壁や文化の違いがあっても、本記事で紹介した5ステップに沿って論理的かつ誠実に対応することで、不満を持った顧客をファンに変えることができます。
真摯な姿勢は、TripadvisorやGoogleマップでの好意的なレビューに直結し、将来の集客にも大きく貢献します。現場スタッフが自信を持って対応できるようマニュアルを共有・活用し、日本ならではの「温かいおもてなし」を世界へ届けていきましょう。

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