【スノーツーリズム】消費の90%はインバウンド!データに見る拡大トレンドと今から備えるべき戦略とは
【目次】
日本のスノーリゾートが世界を席巻!インバウンド消費が牽引する驚異的成長
日本のスノーリゾートは今、世界中から熱い注目を集め、活気に満ちています。特に2024年から2025年の冬シーズンにかけて、その賑わいは過去最高水準に達しており、成長の大きな原動力となっているのがインバウンド(訪日外国人)の消費です。
最新のデータを見ると、この勢いは明らかです。VISAの報告では、訪日外国人によるスキー・スノーボード旅行での支出額が前年を大幅に超えており、既に2024年晩冬には一部のスキー場で訪問者数が前年比約40%増加したという結果も出ています*1。来シーズンも、この驚異的な成長は続くと予測されています。
*1 出典:Ski’s up: Enduring appeal of Japan’s snowy slopes deliver a tourism boost in the ski season | Visa
なぜ、日本の雪が選ばれるのか?二つの大きな魅力
日本のスノーリゾートがこれほどまでに支持される理由は、主に二つあります。
1. 世界が称賛する「ジャパウ」(Japow)
一つ目の魅力は、世界中で「ジャパウ」(Japan Powder Snowの略)と称賛される、日本独自の高品質なパウダースノーです。北海道や長野の雪質は、他の追随を許さないほど軽く、極上の滑走体験を提供します。
この比類ない雪質を求めて、オーストラリア、アメリカ、シンガポールなどの温暖な国・地域から、特に富裕層が集結しています。これは、日本のスキー場が単なるスポーツ施設ではなく、世界レベルの「プレミアムな観光デスティネーション」として認識されている証拠です。
2. スキーだけではない「体験価値」
二つ目の魅力は、スキー以外の充実した体験価値です。訪日外国人観光客は、国内の観光客に比べ、スキー観光地での1日あたりの消費額が約4倍にも上ることがデータで示されています。
彼らは、単に滑るだけでなく、周辺地域での温泉文化、地元の美食、そして多角的な観光を組み合わせた長期滞在型の旅行を求めています。このニーズに対応するため、観光当局やDMO(観光地域づくり法人)は、インフラ整備や新たな体験プログラムの開発に力を注いでいます。
世界が選ぶ日本のスノーデスティネーション
VISAカード会員のデータによると、日本はスキーを楽しむ場所として世界中から高い支持を得ています。特に注目すべきは、スキー後の観光も非常に魅力的に映っている点です。
訪日客の出身国・地域別ランキングでは、以下の国々が上位を占めています。

このランキングからは、比較的温暖な地域からの訪問者が多いことがわかります。彼らは日本の雪質に特別な価値を見出し、長期滞在を伴う高額消費に繋がっています。
また、スキー後の訪問地ランキングでは、以下の都市や地域が人気を集めています。

このデータは、スキー・スノーボードを核としながらも、都市観光やその他の地域での文化体験、温泉巡りなど、日本の多様な魅力を満喫する周遊型の旅行が主流になっていることを示しています。特に東京、大阪といった大都市圏への立ち寄りは、ショッピングやエンターテイメントへの関心も高く、さらなる消費を喚起しています。
日本のスノーリゾート市場は、高品質な雪と豊かな体験価値を武器に、今後もインバウンド需要を牽引し、さらなる成長が期待されます。
購買力旺盛なインバウンドが牽引!消費トレンドと周遊旅行の拡大
日本のスノーリゾート市場は、インバウンドの「高い購買力」と「周遊傾向」によって劇的に変貌しています。訪日外国人旅行者は、単なるスキー客ではなく、地域経済全体を潤す消費の担い手となっており、その傾向は年々顕著になっています。
データが示す驚異的な消費インパクト
最近のデータは、その消費の勢いを具体的に示しています。
- 消費の9割をインバウンドが占有*2
スキーリゾート地における総支出額のうち、実に90%近くを訪日外国人旅行者が占めています。これは、国内旅行者と比べてインバウンドの消費単価が格段に高いことを示しています。 - タッチ決済比率の急増*3
海外からの旅行者の間では、利便性の高いタッチ決済の利用率が80%以上に達しています。スムーズな決済環境の整備が、ストレスのない消費行動と高額な購買を後押ししています。
スキーリゾートから日本全国へ広がる「周遊型」消費
さらに特筆すべきは、外国人旅行者の長期滞在と周遊傾向です。
- 長期滞在の定着*4
スキーを楽しんだ後も、彼らは平均して9日間もの間、日本国内を周遊しています。 - 消費エリアの拡大
スキーリゾート地での消費に加え、東京、大阪、京都、その他の地方都市など、周遊先でも活発に消費しています。これにより、宿泊、外食、買い物、交通費など、広範な分野で経済効果を波及させています。 - 都市での再消費: 特に大都市圏では、ショッピングやエンターテイメントへの関心が高く、スノーリゾートでの消費額を上回る支出が発生するケースも多く見られます。
この「周遊型インバウンド旅行」の定着は、日本のスノーリゾートが、日本全体を巡る旅の強力なハブ(拠点)となっていることを明確に示しています。良質な雪と文化体験を求めて来日した旅行者が、結果的に日本経済全体を活性化させるという好循環が生まれているのです。
*2・3・4 出典:Ski’s up: Enduring appeal of Japan’s snowy slopes deliver a tourism boost in the ski season | Visa
多様な国籍のスキーヤーを魅了する日本のスノーリゾート:ターゲット別戦略の重要性
日本のスキーリゾートは、現在、インバウンド市場において世界的に高い評価を得ており、多国籍な旅行者が雪を求めて訪日しています。各国・地域によって旅行目的や消費スタイルが大きく異なるため、市場をさらに拡大するためには、ターゲットを絞った緻密なアプローチ(ニッチ戦略)が不可欠です。
ここでは、主要な訪日スキーヤーの国籍・地域ごとの特徴と、それに合わせた戦略の重要性を解説します。
1. オーストラリア:最大の客層であり「夢の地」としての地位を確立
オーストラリアからの旅行者は、訪日スキーヤー全体の約30%を占める最大の市場です。彼らにとって、北海道のニセコ、ルスツ、富良野などのエリアは、比類ない雪質と充実したインフラにより、まさに「夢のスキー地」として確立されています。
人気の理由は、世界最高級のパウダースノーに加え、リゾート内の英語対応(英語表記や英語での接客)が進んでいるため、言語の壁を感じずに長期滞在を楽しめる安心感があるからです。
今後さらに集客を増やすには、彼らが安定したリピーター層で、高額消費を行うことを念頭に、既存のプレミアムサービス(高級コンドミニアムや質の高い飲食など)をさらに強化し、顧客ロイヤルティを維持・向上させることが重要となります。
2. アメリカ:プレミアムな「雪と文化の融合」を求める富裕層
訪日スキーヤーの約20%を占めるアメリカからの旅行者が日本を選ぶのは、他では味わえない「特別なパウダースノー体験」と「日本文化の融合」に強い魅力を感じているからです。彼らの消費傾向として、スキー旅行に留まらず、日本の温泉、地元の美食、質の高い「おもてなし」文化への期待が高く、高額な体験やプライベートサービスに積極的に投資する傾向があります。
この層の集客を増やすには、「ジャパウ」を核としつつ、ヘリスキーやバックカントリーなどのプレミアムなアクティビティと、伝統的な文化体験を組み合わせたパッケージを開発し、深い満足度を提供することでリピーター化を促進することが重要です。
3. 東南アジア(シンガポール・タイ・マレーシアなど):初の雪体験と周遊観光
この層は全体の約15%を占める、成長著しい層です。彼らの多くは、日本で初めてスキーを体験する層であり、ウィンタースポーツへの強い憧れを抱いています。
旅行スタイルは、リゾートでのアクティビティを楽しんだ後、東京や大阪、京都といった主要都市でショッピングや観光をじっくり満喫する「スキー+観光」の周遊スタイルが定着しています。
この層の集客を増やすには、スキー初心者向けの手厚いレッスンや雪遊びコンテンツを充実させることが求められます。同時に、都市部へのアクセス情報や周遊ルートを提案することで、旅全体の魅力を高め、新規顧客を呼び込みましょう。
4. 中国本土:潜在的需要を秘めた今後の注目市場
現時点でのシェアは約5%と控えめですが、今後の動向が最も注目される層です。国際情勢や渡航規制の影響が残る中で、すでに個別手配旅行(FIT)や高所得者層による根強い需要が見られます。
この層の特徴として、訪日リピーターや日本文化への理解が深い層が多く、質の高いサービスを求める傾向があります。
中国本土からの集客を増やすには、状況改善に伴う需要の急増に備えることが重要です。具体的には、中国語圏向けの決済・予約システムを整備し、富裕層向けのラグジュアリーな体験をアピールする戦略が有効です。
日本のスキーリゾート:地域が紡ぐ個性と戦略的ブランディング
日本のスキーリゾートは、それぞれが持つ独自の魅力を前面に出し、地域ごとの特徴を活かしたブランディングで国内外からの注目を集めています。特定の国や地域をターゲットに据えたプロモーションを展開することで、各地域はリピーターの獲得に力を入れ、差別化を図っています。
プレミアムリゾートの代名詞:北海道 ニセコ
北海道のニセコは、日本のスノーツーリズムにおける国際的な玄関口です。海外からのスキー観光客の約50%がニセコを訪れるほど圧倒的な人気を誇り、特にオーストラリアやアメリカなど英語圏の富裕層に支持されています。
その魅力は、世界屈指のパウダースノーだけでなく、高級コンドミニアム、洗練されたレストラン、充実したアメニティといったグローバル基準のプレミアムな体験が融合している点にあります。
ニセコは単なるスキー場ではなく、冬季だけでなく通年で高い価値を提供する日本有数の国際的なリゾート地としての地位を確立しています。
アジアのファミリー層を惹きつける通年型リゾート:長野 白馬
長野県白馬村は、海外からのスキー観光客の約35%が訪れる人気エリアであり、近年特に香港、台湾、シンガポールといったアジア圏からのファミリー層の長期滞在が増加しています。
白馬は、新しいホテルの開発や交通インフラの充実が急速に進み、スキー初心者向けのレッスンやゴンドラ設備が拡充され、幅広い層が楽しめるのが特徴です。
また、大きな特徴は、「冬季」に加えて「グリーンシーズン」(夏季)の観光誘致にも注力している点です。登山やトレッキング、マウンテンバイクといったアクティビティを充実させることで、年間を通じて楽しめる通年型リゾートを目指しており、持続的な観光発展への戦略が明確です。
コストパフォーマンスと地元体験で急成長:北海道 富良野
北海道の富良野は、国内からの訪問者が約55%を占める一方で、海外からの訪問者も前年比約70%増と急成長を遂げている注目エリアです。
富良野の魅力は、ニセコに劣らない良質なパウダースノーに加え、街とリゾートが比較的近く、地元の文化や食事に触れやすいという立地にあります。
ニセコがハイクラスリゾートとしての地位を確立する中、富良野はコストパフォーマンスを重視する旅行者やファミリー層を主なターゲットとして取り込んでいます。地元の温かさや、より身近な日本文化体験を求める旅行者にとって、富良野は理想的な選択肢です。
国と地域が連携!インバウンド誘致と持続可能な観光への取り組み
日本のスノーリゾートは、国の強力な後押しと地域の積極的な施策により、国際的な観光地としての魅力と利便性を飛躍的に高めています。これは、単なる観光客誘致に留まらず、地域経済への貢献と持続可能な観光の実現を目指した、戦略的な取り組みです。
1. 国の強力な支援と地方への経済波及
観光庁が主導する「スノーリゾート地域のインバウンド誘客促進事業」は、その大きな推進力の一つです。この事業により、全国規模で多言語対応、交通アクセスの整備、そして効果的なマーケティング戦略が加速しています。
特に、インバウンド需要は単なる一時的なブームではなく、日本の地域経済、特にスノーリゾート地域にとって持続的な成長エンジンです。外国人旅行者の周遊型の旅行スタイルは、これまで観光客の恩恵を受けにくかった地方都市や農村地域にも経済的な機会をもたらし、地域全体の活性化に大きく貢献しています。
2. 観光体験の質の向上と地域連携
今後、日本のスノーリゾートがこの勢いを維持し、さらに発展していくためには、外国人旅行者のニーズを深く理解し、それに応えるサービスの提供が不可欠です。
- 環境整備の強化
外国人旅行者が快適に過ごせるよう、無料Wi-Fiスポットの設置、外貨決済の導入支援、観光案内所への多言語スタッフの常駐など、きめ細やかな環境整備が強化されています。 - 体験型観光の推進
地域DMO(観光地域づくり法人)との連携を強化し、単なるスキーに留まらない、地域全体を舞台にした食や文化体験を楽しんでもらう動きが加速しています。例えば、スキーとセットで地元の伝統工芸体験や農産物収穫体験などができるプランが増加しています。
これらのユニークな体験は、旅行者の滞在日数を延ばし、地域への深い理解と愛着を育む工夫として各地で展開されています。
3. 持続可能な観光(サステナブルツーリズム)への配慮
誘客促進策は、観光公害(オーバーツーリズム)対策にも配慮しながら進められています。
リゾート周辺だけでなく、周遊先の観光地へ訪問者を分散させることで混雑を緩和し、地域住民との共生や自然環境の保護を重視する「サステナブル観光」の考え方が、広く浸透しています。これは、一時的な観光客誘致に終わらず、地域全体の持続可能な発展を目指す、長期的な視点に立った取り組みと言えるでしょう。
2024~2025年シーズンのスノーツーリズム動向まとめ
2024年から2025年にかけての冬シーズンは、日本のスノーツーリズム市場にとって記録的な回復と成長のシーズンとなりました。訪日スキー客数は前年比で約40〜50%増という驚異的な伸びを示し、政府が目指す観光目標達成への強力な牽引役となったことが明確になりました。
このシーズンで明らかになった主要な動向と課題は以下の通りです。
1. 成功を決定づけた主要な動向
- インバウンドによる圧倒的な消費シェア
スキーリゾート地における総消費額の約9割を訪日外国人旅行者が占め、その高い購買力が地域経済を直接的に活性化させました。 - 「周遊型」長期滞在の定着
外国人スキー客の多くが、スキー後も平均9日間にわたって日本国内を周遊するスタイルが定着しました。これにより、消費がスキー場周辺だけでなく、東京や大阪などの大都市圏、さらに他の地方都市へと広がり、広範な経済波及効果をもたらしました。 - ターゲットの多様化とニーズの二極化
オーストラリアやアメリカなどの欧米豪からの富裕層が依然として高額なプレミアム体験を追求する一方で、東南アジアや中国本土からの新規層が「初の雪体験」や「スキー+都市観光」を求めて流入し、市場が多様化しました。
2. 成長に伴い顕在化した課題
市場の急成長は歓迎される一方で、リゾートの持続的な運営に向けた課題も顕在化しました。
- オーバーツーリズムとインフラの負荷
ニセコや白馬といった国際的な人気リゾートでは、観光客の急増に伴う交通渋滞や公共交通機関の混雑が深刻化し、地域住民の生活への影響が無視できないレベルとなりました。適正なキャパシティ管理と訪問者分散策が急務となっています。 - インフラ老朽化とグローバル基準の乖離
急速に増加する外国人富裕層の期待値に対し、一部リフトや宿泊施設の老朽化が目立ち始めました。多額の資本を投じたインフラ更新や、グローバルなハイエンドリゾートと比較されても遜色のないサービス品質の維持・向上が長期的な課題として浮上しています。 - 気候変動と持続可能なリゾート運営
暖冬による積雪量の不安定化は、スノーツーリズムの根幹を揺るがす喫緊の課題です。これに対応するため、雪に依存しないグリーンシーズン(夏季)の収益化策を強化し、通年型リゾートへの転換を図ることが不可欠となっています。
この2024-2025年シーズンで得られた知見と課題を戦略的に克服していくことが、日本のスノーリゾートが世界的な地位を確固たるものにし、持続可能な成長を遂げるための鍵となります。
2025-2026シーズン予測:日本のスノーリゾートが迎える「質」と「量」の拡大
2024-2025年シーズンに前年比40〜50%増という驚異的な成長を遂げた日本のスノーツーリズムは、2025-2026年シーズンに向けてさらなる拡大期に入ります。政府が掲げる「2030年訪日客6,000万人」の目標達成も視野に入る中、単なる人数増だけでなく、高額消費を行う富裕層やアジア圏からの新規層の流入により、「質」と「量」の両面で市場が成熟するでしょう。
この成長の波を確実に捉えるため、日本のリゾートが今すぐ取り組むべき戦略を解説します。
1. 成長を牽引する二つの主要トレンド(予測)
2025-2026年シーズンは、以下の二つのトレンドが成長のエンジンとなります。
- 高額消費を伴う「雪と文化の融合」旅行の定着
訪日スキー客は平均9日間もの国内周遊旅行を楽しみ、旅行支出の約9割をインバウンドが占めています。
欧米豪の富裕層は、パウダースノーに加え、日本の文化体験(温泉、美食)を組み合わせた長期滞在をスタンダードとしており、この傾向はさらに強まります。リピーターのロイヤルティ向上につながる、より深く、パーソナルな体験の提供が求められます。 - アジア圏からの新規スキー人口の爆発的増加
特に東南アジアや中国本土からの旅行者は、日本で初めての雪体験と都市観光を組み合わせた旅行を志向しており、潜在的な成長力が非常に高いです。
この新規層の取り込みは、市場の「量」的な拡大を決定づけるとともに、スキー初心者向けのレッスンや雪遊びといった新たな需要創出の鍵となります。
2. 2026年シーズンに向けた「3つの必須戦略」
市場の拡大期において、日本のスノーリゾートが競争優位性を確立するために、次の三つの戦略が不可欠です。
戦略 1: グローバルスタンダード化と利便性の徹底
増加する外国人旅行者のストレスを軽減するため、多言語対応とキャッシュレス決済(特にタッチ決済)の徹底が不可欠です。
戦略 2: ターゲット特化型商品による差別化
また、老朽化したリフトなどインフラへの投資を急ぎ、グローバルなハイエンドリゾートと比較されても遜色のないサービス水準の維持・向上を目指す必要があります。DX推進によるオンライン予約システムの充実や、AI翻訳システムの導入も、利便性向上に大きく貢献します。
顧客ロイヤルティの高い欧米豪富裕層向けには、バックカントリーやプライベートサービスといったプレミアムで挑戦的なアクティビティを強化します。
一方、アジア圏のファミリー層向けには、初心者向けレッスンや家族で楽しめる雪遊び、地域文化体験を組み合わせた「スキー+観光」のパッケージなど、ターゲットのニーズに特化した商品の開発が求められます。多様なニーズに対応できる商品群が、集客の安定化に繋がります。
戦略 3: サステナブル観光とオーバーツーリズム対策の推進
観光客の増加に伴う交通渋滞や混雑といったオーバーツーリズムへの対応は急務です。訪問者の分散や地域全体での連携を強化し、地域住民との共生を重視する「サステナブル観光地」としてのブランド力を高める必要があります。
さらに、気候変動リスクに備え、トレッキングやグランピングといった夏季のアクティビティを充実させ、通年型リゾートへの転換を図ることが、持続的な成長には不可欠な課題となります。
2025-26年シーズン:日本のスノーリゾート、インバウンド拡大と持続的成長へ
2024-2025年シーズンに驚異的な成長を遂げた日本のスノーツーリズム市場は、2025-2026年シーズンに向けて「質」と「量」の両面で成熟期に入ります。
成長の核は、消費の約9割を占めるインバウンド、特に長期周遊する欧米豪の富裕層と、新規の雪体験を求めるアジア圏です。
各リゾートは地域独自の個性を活かした差別化戦略を推進していますが、この勢いを維持するには、オーバーツーリズムや老朽化したインフラへの対策が急務となります。
今後は、多言語対応の徹底、富裕層向けプレミアムと新規層向け文化体験の差別化、そして気候変動に備えた通年型リゾートへの転換という、サステナブルな成長戦略が不可欠です。
