【2026年3月インバウンド動向】訪日客数362万人で3月過去最高を更新!桜需要が牽引、中国市場は急減が続く
2026年3月の訪日外客数は3,618,900人となり、前年同月比3.5%増で3月として過去最高を更新しました(JNTO推計値)。また2年連続で1〜3月累計が1,000万人を突破しています。総数の伸びは穏やかに見えますが、市場の内訳を読むと、中国の大幅減を他市場が吸収して余りある好況という実態が浮かびあがります。
※本記事の数値はJNTO発表の推計値・暫定値です。数値は今後修正される場合があります。
【目次】
1分でわかる3月のポイント
- イースター前倒しによるスクールホリデー需要が欧米豪・東南アジア全体を押し上げ
- 訪日外客数は3,618,900人、前年比3.5%増で3月として過去最高を更新
- 1〜3月累計が2年連続で1,000万人突破(10,683,500人)
- 中国からの訪日客数が前年比55.9%減。渡航注意喚起と航空便減便が影響
- 韓国・台湾・マレーシア・インドネシア・米国・英国など計20市場で単月または3月として過去最高を記録
全体概況:穏やかな伸びの裏に市場構造の変化
3月は例年、桜シーズン前後のピークと重なり、外客数が最も多い月の一つです。今年は4月のイースターが例年より早く、スクールホリデーが3月下旬に前倒しになった欧米・アジア市場が多かったことも重なりました。円安基調が続いていることも、旅行コストの面では引き続き追い風です。
一方で、中国からの訪日客数は前年3月の約662,000人から291,600人へと55.9%減となっており、この一市場だけで約37万人分を押し下げています。中国を除いた市場全体でみると、実態の伸び率は3.5%という数字より相当大きくなります。
1〜3月累計は10,683,500人(前年比1.4%増)。中国の累計が前年比54.6%減(約129万人減)という状況でこの水準を維持できているのは、他の市場が着実に底上げされているからです。
国・地域別動向
東アジア:韓国・台湾が牽引、中国は大幅減が続く
韓国(795,600人、前年比15.0%増)と台湾(653,300人、同24.9%増)はいずれも3月として過去最高を記録。1〜3月累計でも韓国は3,058,100人(同22.0%増)、台湾は2,041,500人(同25.7%増)と安定した成長が続いています。韓国では釜山〜静岡間の新規就航など地方路線の拡充が、台湾では台中〜熊本間の新規就航やスポーツイベント効果が寄与しました。香港(216,300人、同3.8%増)はスクールホリデーの前倒しで3月下旬に需要が集中し、前年をわずかに上回りました。
一方、中国は291,600人(同55.9%減)と大幅な落ち込みが続いています。渡航注意喚起と航空便の減便が重なった結果で、1〜3月累計は前年同期比で約129万人の差が生じています。
東南アジア:断食明け・スクールホリデーが重なり全市場で過去最高
タイ・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシア・ベトナム・インドの全7市場が、単月または3月として過去最高を記録しました。イスラム教の断食明け休暇(イード・アル=フィトル)とスクールホリデーが重なった時期に需要が集中したことが共通の背景です。
特に伸び率が大きかったのはマレーシア(76,600人、前年比44.2%増)、ベトナム(92,000人、同43.5%増)、インドネシア(82,800人、同36.6%増)の3市場で、このうちベトナムとインドネシアは単月として過去最高です。インドは絶対数(41,400人)こそ小さいですが25.6%増と堅調で、1〜3月累計75,800人と着実に積み上がっています。
豪州・北米:全市場で過去最高、メキシコの伸び率が際立つ
米国(375,900人、前年比9.7%増)、カナダ(79,900人、同17.4%増)、豪州(96,900人、同14.3%増)はいずれも3月中旬〜下旬にスクールホリデーが重なり、過去最高を更新しました。メキシコは24,800人と絶対数は小さいですが前年比69.7%増と今月最大級の伸び率で、1〜3月累計も55,500人まで拡大しています。
欧州・北欧地域:イースター前倒しで軒並み過去最高、ウクライナ情勢は引き続き懸念材料
英国・ドイツ・フランス・スペイン・イタリア・ロシア・北欧地域(スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド)の全7市場が過去最高を記録しました。スクールホリデー前倒し需要が共通の押し上げ要因で、北欧地域(24,500人、前年比47.6%増)は現地での訪日関連報道の増加と航空座席数の拡大も寄与しています。ウクライナ情勢に伴う飛行ルート変更でフライト時間が長くなっている点は、引き続き欧州市場全体の懸念材料です。
中東地域:航空便の運休・減便が響き前年割れ
中東地域は16,700人(前年比30.6%減)。断食明け休暇による需要はあったものの、中東情勢に伴う航空便の運休・減便が影響しました。
インバウンド事業者が読み取るべき3つの示唆
中国市場の回復を待つ戦略には無理がある
1月(前年比60.7%減)、2月(同45.2%減)、3月(同55.9%減)と3ヶ月連続で大幅な落ち込みが続いています。2月は春節が今年は2月中旬にずれたことで多少の押し上げ要因はあったはずですが、それでも45%超のマイナスでした。渡航注意喚起と航空便の減便という要因が1〜3月を通じて一貫して効いており、暦の要因で説明できる範囲を超えています。便数が戻らない限り物理的に人が来られないため、回復のタイミングは需要側だけでは決まりません。中国比率が高い事業者ほど、回復を前提に計画を組むのではなく、今動いている市場にシフトしていく必要があります。
スクールホリデーのカレンダーを軸にした需要予測を
今月の好調市場に共通するのは、「イースターの時期ずれでスクールホリデーが3月下旬に集中した」という要因です。欧米豪・東南アジアいずれも同じ構造で数字が動いています。
同じ構造の需要波は年内にも複数回あります。直近では豪州の秋休み(4月上旬〜中旬、州によっては5月初旬まで)がすでに始まっており、3月と同じくスクールホリデー連動型の需要が動くタイミングです。より大きな波は6〜8月で、米国・カナダの夏休み(6〜8月、約3ヶ月)と欧州の夏季バカンス(7月初旬〜8月末)が重なり、欧米からの訪日客が最も集中する期間になります。東南アジアでも5〜6月に学期間休暇が設定されている国があります。
欧米向けの宿泊・航空の予約リードタイムを考えると、プロモーションは4〜6ヶ月前には動いておきたいところです。イースターのように年によって日程がずれる休暇は特に見落としやすく、各国の学校カレンダーは年初に確認しておくのが無難です。
絶対数より成長率で動いているのがインド・メキシコ
インドとメキシコは今月の成長率がそれぞれ25.6%、69.7%と高く、1〜3月累計もインド75,800人、メキシコ55,500人と積み上がっています。絶対数はまだ小さいですが、この段階だからこそプロモーション競合が少なく、先行しやすい状況です。どちらも航空路線の拡充が続いており、アクセス面での改善が需要を引き上げている構図は韓国や台湾の初期成長期と重なります。自社のコンテンツとの相性を見ながら、中長期で仕込んでおく価値はあります。
まとめ
中国の55.9%減という大きな穴を抱えながら3月として過去最高を達成できたのは、韓国・台湾・東南アジア・欧米豪がそれぞれ着実に伸びたからです。特にマレーシア・インドネシア・ベトナムが40%超の成長率を出していることは、訪日需要が特定の市場に依存しない形で広がっていることを示しています。
ただし、中国の回復が遅れたままで推移すれば、2026年通年の前年比はかなり限定的になります。今やるべきことをあえて絞るとすれば、以下3点となります。
- 中国依存度の確認と代替市場の特定
- スクールホリデーカレンダーに基づいた年間プロモーション計画の見直し
- インド・メキシコなど成長初期市場への小さな先行投資
いずれも、好況が続いている今の方が着手しやすいはずです。
参照:訪日外客数(2026年3月推計値)|JNTO(日本政府観光局)
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