大衆点評とは?中国最大級グルメアプリの仕組みと、日本の店舗が知っておきたいポイント
「大衆点評(大众点评)」という名前を、初めて聞いたという飲食店オーナーは決して少なくないはずです。中国人観光客は来るのに、自分の店がどうやって選ばれているのかはよく分からない。そんなもやもやを抱えている方もいるかもしれません。
実は、多くの訪日中国人は日本の店を探すとき、Googleマップではなく大衆点評というアプリを開いています。2025年の訪日中国人は約910万人にのぼり、国別で第2位を占めました*1。そのうち80%以上が大衆点評を利用しているとされており*2、多くの店にとって無視できない存在になっています。
本記事では、大衆点評がどんなアプリなのか、訪日中国人がなぜこのアプリで店を選ぶのか、そして日本の飲食店が知っておくべき役割と仕組みを、入門者向けにやさしく解説していきます。
【目次】
中国人は「Googleマップ」ではなく「大衆点評」で探す
中国本土では、いわゆる通信規制によってGoogleのサービスが日常的に使えません。代わりに人々の生活に根づいたのが、大衆点評です。店探しから口コミ投稿までを担うプラットフォームとして、中国では長く使われてきました。
この習慣は訪日後も変わらず、使い慣れたアプリで近くの店を検索するのが自然な流れになっていると考えられます。
- アプリの慣れ:普段から使っているツールを旅先でもそのまま使う
- 中国語での情報取得:日本語中心のGoogleマップより言語の壁が低い
- 同国民の口コミ:中国人ユーザーの評価を身近に感じやすい心理
大衆点評の基本情報:規模と位置づけ
大衆点評は2003年に上海で創業されたレビュー・生活情報サービスで、2015年にクーポン最大手の美団(メイトゥアン)と合併し、現在は美団グループの一員として運営されています。会員数は世界で数億人規模、加盟店舗数も非常に多いとされる、中国を代表する生活情報プラットフォームです*3。
日本の店舗にとってより実感の湧く数字としては、大衆点評の日本エリアにおける月間アクティブユーザー(MAU)が、2025年1〜3月期の平均で49.4万人にのぼるというデータがあります*2。同時期の訪日中国人の月平均が約79万人だったことと照らすと、旅行者の半数以上が日本滞在中も大衆点評を継続的に利用していることになります。
飲食・美容・娯楽まで幅広い生活情報を扱う総合プラットフォームである点も特徴です。「探す・決める・シェアする」までの行動が一つのアプリの中でつながっている以上、その流れのどこに自店が現れるかが集客を左右するといえます。
訪日中国人が店を選ぶまでの流れ
訪日中国人が大衆点評をどう使うかは、旅の段階によって変わると考えられます。ここでは出発前から帰国後までの一般的な流れを整理してみましょう。
出発前:日本のグルメを調べる段階
多くの訪日客は、旅行の計画段階から大衆点評で日本の店を調べ始めます。「東京 ラーメン」「大阪 焼肉」のように、エリアとジャンルで人気店を探すのが定番です。この段階で重視されるのは、口コミ数・評点・写真だと考えられます。まだ現地にいないからこそ、画面上の情報だけで行き先の候補がつくられていきます。
現地到着後:その場で「今日食べたい」を探す段階
日本に到着すると、位置情報から近い店を探し、営業時間やアクセスを確かめる行動に切り替わります。中国人観光客の多くはキャッシュレス決済に慣れているとみられ、支払い方法が分かりやすいことも来店のハードルを下げる要素になり得ます。
候補を絞り込む段階
候補が絞られてくると、決め手になりやすいのが他の利用者の口コミ、とりわけ写真です。文章よりも実際の料理画像のほうが、期待と現実のギャップを埋めてくれます。あわせて、投稿の新しさも判断材料のひとつになると考えられており、直近の口コミが継続的に集まっている店ほど安心して選ばれやすい傾向にあります。
予約・来店の段階
行き先が決まると、予約や来店の準備に入ります。言語対応やメニュー、支払い方法を事前に確認する人も多く、来店直前に店舗ページを見返すユーザーもいるため、情報の正確さがここでも効いてきます。
帰国後:口コミを投稿する段階
良い体験をした利用者は、帰国後に口コミを投稿することがあります。この一件が、次に来る訪日客の判断材料になっていきます。中国では友人や同国民におすすめを共有する習慣が根づいているとされ、この文化的な背景が口コミの積み重ねにつながっていると考えられます。
大衆点評とGoogleマップ:役割の違い
| 比較項目 | 大衆点評 | Googleマップ |
|---|---|---|
| 主なユーザー層 | 中国人(本土・訪日客) | 世界各国の旅行者 |
| 検索の強み | グルメ・価格帯・口コミ | 位置情報・ルート案内 |
| 口コミの傾向 | 中国人同士の評価が中心 | 多国籍で幅広い |
| 言語 | 中国語中心 | 多言語・自動翻訳対応 |
大衆点評はグルメ情報・価格帯・口コミの厚みに強く、Googleマップは位置情報の精度や多言語対応に優れています。どちらか一方に絞るのではなく、客層に応じて両方を意識するのが現実的です。
- 訪日中国人比率が高い店:大衆点評を優先的に整える
- 多国籍の外国人が来る店:Googleマップとの並行運用が現実的
- 予算が限られる店:まずは大衆点評の基本情報を最小限そろえる
自社での運用が難しい場合は、IMJのようなインバウンド専門のMEO・多言語対応支援を活用する方法もあります。どこから手をつけるか迷ったときの選択肢として検討してみてください。
大衆点評の主な機能
店舗情報ページ:プロフィール・メニュー・営業時間
店舗情報ページは、訪日客が最初に目にする「店の顔」です。プロフィール、メニュー、営業時間といった基本情報が来店の第一印象を左右します。特に、翻訳されたメニュー表示は重要です。何が食べられるのかが一目で分かるだけで、来店のハードルは下がります。言語対応・支払い方法・個室の有無といった情報もあると親切です。
口コミ・評点:信頼の積み重ね方
口コミは評点とフリーテキストで構成され、店の評判を形づくります。写真付きの口コミは、テキストのみの投稿より説得力があるとされ、料理の実物が見えることが安心感につながります。投稿の新しさも一定の影響を持つと考えられており、直近の評価が積み重なっていることが、露出の維持につながる可能性があります。
広告機能:有料のPRオプション
大衆点評には、検索結果での露出を高める有料のPRオプションが用意されています。新規開業時のプロモーションに活用できる機能もあり、知名度がまだ低い段階では最初の一歩を後押ししてくれる可能性があります。具体的な内容や費用は時期によって変わるため、詳細は正規代理店等に確認することをおすすめします。
フォロー機能:継続的な接点づくり
ユーザーが店舗をフォローできる機能もあり、フォローすると新メニューや割引などの情報を受け取れる仕組みです。店舗側は近況を定期的に発信でき、一度きりの来店で終わらせない継続的な接点づくりに活用できます。
店舗の格付け:経営評価による金・銀・銅バッジ
大衆点評には、店舗の運営状況に応じて金・銀・銅などのバッジが表示される仕組みがあります。これは口コミへの返信率や来店実績など、複数の指標に基づいて算出される「経営評価」によるもので、消費者が数ある店舗から質の高い店を見分ける目安として機能しています。日々の運用を積み重ねることで、こうした格付けの向上を目指せる点も、大衆点評ならではの特徴といえるでしょう。
なぜ訪日中国人は口コミを書くのか
「なぜ中国人客はこんなに口コミを書いてくれるのだろう」と感じたことがあるかもしれません。そこには文化的な習慣が関わっていると考えられます。
中国では、小紅書(RED)やWeChatのモーメンツで日常的に体験を共有する習慣が根づいており、この文化が大衆点評にも波及していると見られます。また、大衆点評の会員には口コミ投稿などで貯まる「貢献値」に応じてレベルが上がる仕組みがあり、投稿を続ける動機づけのひとつになっているとされています。丁寧な接客を受けたお客様が、感謝の気持ちを次の訪日客への情報提供という形で返そうとする心理も、口コミが積み重なる一因と考えられます。
よくある質問:大衆点評の「実際のところ」
大衆点評は日本国内でどのくらい普及しているのか?
訪日中国人の多くが日常的に利用していると見られ、観光地や飲食店が密集するエリアほどその影響度は高まる傾向にあります。地方都市では影響がまだ限定的な場合もあるため、自店の商圏にどれだけ訪日中国人が来ているかを基準に考えるとよいでしょう。
大衆点評に店舗登録しないと、中国人客は来なくなるのか?
登録していなくても、ユーザーの投稿によって店の情報が出回る可能性はあります。つまり「載っていない」のではなく「意図せず載っている」状態が起きうるということです。営業時間の誤りなどが放置されるより、店舗側が正しい情報を発信して信頼を築くほうが安心につながります。
大衆点評とWeChat、小紅書(RED)の使い分けは?
役割が異なるため、まとめて整理しておくと分かりやすいです。
- 大衆点評:今日のお店探し、店舗情報・口コミの確認
- 小紅書(RED):旅の計画段階、体験のシェアやインスピレーション
- WeChat:連絡や情報のやり取り
旅の段階ごとに使うアプリが変わっていくイメージです。
低評価の口コミに店舗側はどう対応すべきか?
放置せず、公開返信で誠実な姿勢を示すことが大切です。削除を求めるより、改善への取り組みを添えたほうが、これから見る他のユーザーの信頼につながります。同じ理由の低評価が複数続く場合は、指摘された点を実際に改善することが最も効果的です。
広告機能は効果が期待できるのか?
「地名+グルメジャンル」で検索する訪日客に届きやすく、知名度の低い店ほど露出づくりの効果を感じやすい傾向があります。ただし広告だけでは十分ではありません。クリックした先の評点や写真が伴っていないと、予約や来店には結びつきにくい点には注意が必要です。
まとめ:まずは自店の掲載状況を確認することから
大衆点評は、訪日中国人にとって店を選ぶための入り口のひとつです。この仕組みを理解することが、インバウンド対策の第一歩になります。
いきなりすべてを整える必要はありません。まずは今週、自店が大衆点評にどう掲載されているかを検索して確かめてみてください。来週には営業時間やメニュー情報に誤りがないかを見直し、今月中に「どの客層に注力するか」の方針を決める。この順番なら無理なく進められるはずです。
インバウンドマーケティングジャパンでは、MEO対策代行から多言語対応支援、小紅書(RED)を含むSNSマーケティングまで、インバウンド集客を一気通貫で支援しています。「大衆点評をどう始めればいいか分からない」「中国人客の集客を強化したい」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
※本記事内の大衆点評の機能・仕様は、公開情報をもとに作成しています。最新の内容は運営会社・正規代理店等に直接ご確認ください。行動傾向に関する記述は一般的な傾向を示すものであり、個々の利用者の行動を保証するものではありません。