ラーチーゴーとは?台湾・香港客の集客に活かすための基本と、導入前に確認したい3つの視点
台湾・香港からの訪日客が増えるなか、「ラーチーゴーに掲載したほうがいいのだろうか」と気になっている飲食店オーナーは多いのではないでしょうか。競合店が掲載されているのを見ると、自店も検討すべきかと迷うのは自然なことです。
ただ、ラーチーゴーは、大衆点評やGoogleマップのように自店で運用していく口コミ型ではなく、取材と掲載を前提とした「編集型」のメディアです。この性質を知らないまま判断すると、費用や手間に対して思ったような手応えが得られない可能性もあります。
本記事では、ラーチーゴーの基本から、導入判断を誤りやすい3つの落とし穴、「立地・商品・受け入れ体制」という3つの判断基準までを整理しました。チェックリストや費用の目安、3つのケース、よくある質問もまとめています。導入するか見送るかを、周囲の状況ではなく自店の条件で判断するための材料として、ご活用ください。
【目次】
なぜ今、台湾・香港客への対策が注目されているのか
2025年の訪日外国人客のうち、台湾からは約676万人、香港からも約252万人が来日しており、いずれも増加傾向にあります*1。この層に届くチャネルの価値が高まっていること自体は間違いありません。ただし、そのチャネルが「自分の店にとって」効果を発揮するかどうかは、また別の問題です。
ラーチーゴーとは?台湾・香港向けの「取材型」観光メディア
ラーチーゴー(正式名称:樂吃購!日本)は、台湾・香港のユーザーに向けて日本の観光情報を発信するウェブメディアです*2。ここで押さえておきたいのは、大衆点評やGoogleマップのような、ユーザーの口コミが蓄積される「レビュー型」の仕組みとは性質が異なるという点です。
ラーチーゴーの記事は、運営会社に所属する台湾人・香港人スタッフが実際に取材・執筆する「編集型」のコンテンツが中心です*2,*3。店舗が自分でページを更新したり、投稿された口コミに個別に返信したりする運用は基本的に発生しません。掲載の多くは、取材・記事制作・掲載までを含んだ有料プラン(年間契約が一般的)や、人気の高いクーポン掲載を通じて行われます*4,*5。
つまり、「登録して自分たちで運用していく」というよりも、「取材・広告出稿というかたちで媒体に情報を託す」という関わり方に近いメディアだと理解しておくと、導入後のギャップを防ぎやすくなります。
導入の判断が難しい理由
「やらないと遅れる」という焦りが判断を曇らせる
競合店がラーチーゴーに掲載されているのを見ると、「うちも検討すべきでは」という気持ちが自然に湧いてくるものです。台湾・香港からの訪日客が伸びている今、このチャネルが気になるのは自然なことです。
ただ、現場からは「思ったより問い合わせや予約につながらなかった」「取材後の対応に追われて負担が増えた」といった声も聞かれます。焦りに押されて判断すると、こうしたギャップにつながりやすくなります。大切なのは、周囲の状況ではなく、自社の条件を基準に判断することです。
「必要か、不要か」の二択では答えが出ない
ラーチーゴーに関する情報の多くは、「効果があるか、ないか」という議論に終始しがちです。しかし本来必要なのは、「どんな条件がそろっていれば投資効果を見込みやすいか」という視点です。ここからは、その判断基準を具体的に見ていきます。
投資判断を誤りやすい3つの落とし穴
落とし穴1:立地が台湾・香港客の動線から外れている
ラーチーゴーのユーザーは、観光地や繁華街周辺での飲食・買い物を目的に情報を探す傾向が強いと見られます。そのため、駅から遠い立地や認知度の低いエリアでは、掲載されても実際の来店にはつながりにくくなることがあります。
落とし穴2:商品・サービスがユーザーのニーズと合っていない
ラーチーゴーのユーザーは、台湾・香港で人気の高い「食べ歩き」「クーポンでのお得感」「写真映えする体験」を重視する傾向があります。単価が高すぎる業態や、常連客向けの通好みなメニューに特化している場合、掲載してもユーザーの興味とずれてしまうことがあります。
落とし穴3:取材後の受け入れ体制が整っていない
ラーチーゴーの記事は、取材を経て公開されます。取材当日の対応や、写真・情報の提供、多言語での簡単なやり取りができる担当者がいるかどうかが、コンテンツの仕上がりに影響します。
さらに見落とされがちなのが、掲載後の受け入れ体制です。記事やクーポンをきっかけに問い合わせや来店が増えても、店側に多言語対応や予約導線がなければ、機会を活かしきれません。また、クーポンの有効期限やメニュー内容が変わった際に、情報の更新を媒体側と連携できる窓口を社内に置いておくことも重要です。
投資判断のための3つの基準
この3つの落とし穴を裏返すと、判断の基準が見えてきます。「立地」「商品」「受け入れ体制」の3つです。
基準1:立地が台湾・香港客の観光動線に重なっているか
- 主要な観光地・繁華街から徒歩15分以内にあるか
- 最寄り駅から徒歩5分以内の立地か
- 外国人向けガイドブックやメディアに掲載されやすいエリアにあるか
基準2:商品・サービスがユーザーの興味と一致しているか
- 写真映えする、または食べ歩きしやすいメニュー構成になっているか
- 客単価が3,000〜8,000円程度に収まっているか
- クーポンなど、お得感を打ち出せる余地があるか
基準3:取材対応と掲載後の受け入れ体制が整っているか
- 取材当日に対応でき、簡単な多言語コミュニケーションができる担当者がいるか(または通訳を手配できるか)
- 掲載・広告出稿にかかる予算をあらかじめ確保できているか
- 増えた問い合わせ・来店に対応できる多言語メニューや予約導線があるか
- 情報更新(クーポン期限やメニュー変更など)を媒体側と連携できる窓口が社内にあるか
自社だけで判断や調整が難しい場合は、インバウンド専門の支援会社に相談する方法もあります。「掲載を任せる」というより、「取材対応や受け入れ体制の整備を一緒に考える」という視点で検討するとよいでしょう。
チェックリストで自社を診断する
ここまでの3基準を、実際に自社へ当てはめてみましょう。
- 【基準1:立地】観光地から徒歩15分以内 ☐/駅徒歩5分以内 ☐/ガイドブック掲載エリア ☐
- 【基準2:商品】映える・食べ歩きしやすいメニューあり ☐/客単価3,000〜8,000円帯 ☐/クーポン対応が可能 ☐
- 【基準3:受け入れ体制】取材対応できる担当者がいる ☐/掲載予算を確保できる ☐/問い合わせ対応の導線がある ☐
診断結果の目安
- 3基準とも2項目以上YES:投資対効果が期待できる状態です
- 基準1・2はYESだが基準3が弱い:受け入れ体制の整備が先。外部への相談も選択肢になります
- 基準1・3はYESだが基準2が弱い:メニューや価格帯の見直しを先に検討したい状態です
- 複数の基準でNOが多い:まずはGoogleマップの最適化やSNS発信など、優先度の高い施策から始めるのも一つの考え方です
費用の目安
ラーチーゴーへの掲載は、取材・記事制作・掲載までを含んだプランで提供されることが一般的です。公開されている代理店の料金例では、年間50万円程度からのプランが見られますが*5、内容やボリューム、依頼先によって幅があります。検討する際は、取材内容・掲載期間・クーポンの扱いまで含めて、複数の見積もりを比較することをおすすめします。
取り組みの参考になる3つのケース
ここでは、店名を伏せた形で3つのケースをご紹介します。数値はいずれもおおよその傾向として捉えてください。
ケース1:都内の創作和食ダイニング|3基準を満たしていたケース
主要駅から徒歩5分圏という立地(基準1)に加え、盛り付けの美しい小皿と3,500円前後のコースで写真映えする内容でした(基準2)。取材対応できるスタッフがおり、掲載予算も確保していました(基準3)。
掲載後、数ヶ月かけて台湾・香港客の来店が増え、特に週末夜の予約に変化が見られたといいます。掲載費用に対して、経由の売上が上回る傾向が見られました。
ケース2:観光地の蕎麦屋|受け入れ体制を整えて補ったケース
観光地の好立地(基準1)と、天ぷら盛り合わせという分かりやすいメニュー(基準2)を持ちながら、取材対応や問い合わせ対応の担当者が社内にいないという課題がありました(基準3が不足)。
そこで、取材当日の立ち会いと問い合わせ対応を外部の支援会社に依頼し、社内の負担を抑えながら掲載を進めました。数ヶ月後には、掲載経由の予約が一定数入るようになったといいます。
ケース3:郊外のフレンチレストラン|見送った判断が奏功したケース
「競合店も掲載しているから」という理由で検討していた店です。しかし立地は駅から車で15分の郊外(基準1×)、客単価が1万円を超えユーザー層とのずれも大きく(基準2×)、取材対応の体制も整っていませんでした(基準3×)。
最終的に、3基準がいずれも満たされていないと判断し、掲載を見送りました。代わりにGoogle口コミの多言語対応や高級感を伝えるSNS発信に注力した結果、訪日客比率は緩やかに高まっていったといいます。導入を見送ることも、一つの投資判断です。
よくある質問
大衆点評での集客がうまくいっていれば、ラーチーゴーでも同じように成功しますか?
大衆点評は中国本土向け、ラーチーゴーは台湾・香港向けと、対象とするユーザー層が異なります。また、大衆点評が口コミ中心のプラットフォームであるのに対し、ラーチーゴーは取材にもとづく編集型メディアという違いもあります。一方での成功が、もう一方の成功を保証するものではなく、それぞれ独立した判断が必要です。
掲載にかかる費用の相場を教えてください。
取材・制作・掲載を含むプランで、年間数十万円台からという例が公開されています。ただし内容やボリュームによって幅があるため、依頼先に具体的な見積もりを確認することをおすすめします。基準3を判定する際は、この費用をあらかじめ確保できるかを確認しておくとよいでしょう。
今は立地基準を満たしていませんが、将来的に訪日客が増えそうです。導入すべきでしょうか?
判断基準は、基本的に「現在の状況」を前提に考えるのが安全です。将来の見込みだけで投資を決めると、希望的観測に基づく判断になりやすく、リスクが高まります。いったん見送り、状況が変わったタイミングで改めて検討するのも一つの方法です。
掲載してもらうだけで、一定の集客効果は期待できますか?
掲載自体は編集部による取材記事として公開されるため、大衆点評のように「登録しただけで放置すると評価が下がる」という性質のものではありません。ただし、掲載後の問い合わせや来店に対応できる体制がなければ、せっかくの露出を活かしきれない可能性があります。基準3の受け入れ体制も含めて検討することをおすすめします。
大衆点評・ラーチーゴー・Googleの並行対応は現実的でしょうか?
それぞれ対象とする顧客層や仕組みが異なるため、独立した対応が必要になります。すべてを同時に整えようとすると、社内の対応窓口や予算に負担がかかりやすくなります。優先順位をつけて、段階的に取り組むことをおすすめします。
まとめ:判断を先送りにしないために、今週やるべきこと
ラーチーゴーへの投資判断は、「やるべきか、やらざるべきか」という二択ではなく、「立地」「商品」「受け入れ体制」という3つの基準を満たすかどうかで考えると、迷いにくくなります。「競合がやっているから」という理由だけで決めると、想定していなかった負担につながることもあります。
まずは今週、本記事のチェックリストを使って、自社が3基準のどれを満たしているかを確認してみてください。基準が満たせない項目があれば、「今ではなく、体制が整ってから検討する」という判断も一つの選択肢です。その間は、Googleマップや大衆点評など、優先度の高い施策に注力するのもよいでしょう。
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