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インバウンド市場データ・需要予測

【2026年9月インバウンド動向】訪日客は310万人で前年同月比5.0%減——韓国・台湾が伸び、中国は44.5%減

2026年9月の訪日外客数は3,103,700人となり、前年同月比5.0%減となりました(JNTO推計値)。JNTOは報道発表で、中東情勢による航空券価格の上昇、航空便の減便、台風による欠航などの影響があり、多くの市場で前年同月を下回ったと説明しています。一方で、韓国・台湾など7市場は9月として過去最高を記録しました。1〜9月累計は30,730,200人で、前年同期比2.9%減です。

訪日外客数2026年9月・推計値

310.4万人

前年同月比 −5.0%

日本政府観光局(JNTO)

旅行消費額2026年7-9月期・1次速報

2兆2,076億円

前年同期比 +3.2%

観光庁

外国人延べ宿泊者数2026年9月・第1次速報

1,165万人泊

前年同月比 −9.2%

観光庁

今月は、訪日外客数(9月・月次)、旅行消費額(7-9月期・四半期)、宿泊者数(9月、都道府県別は8月)と、期間の異なる3つの統計が相次いで公表されました。数字を混ぜて比べると読み違えやすいため、本記事では期間を分けて整理します。

統計(公表元)対象期間本記事で使う数字
訪日外客数JNTO・10月21日公表2026年9月月ごと310.4万人推計値
旅行消費額観光庁・10月21日公表2026年7-9月期3か月で1つの数字2兆2,076億円1次速報
外国人延べ宿泊者数(全国)観光庁・10月30日公表2026年9月月ごと1,165万人泊第1次速報
外国人延べ宿泊者数(都道府県別)観光庁・10月30日公表2026年8月9月分は未公表12,393,220人泊全国・第2次速報

同じ9月でも、旅行消費額は7-9月の3か月分、都道府県別の宿泊は8月分です。期間が違う数字は、そのまま並べて比べられません。

※本記事の数値はJNTO・観光庁が公表した推計値・速報値です。数値は今後修正される場合があります。

1分でわかる9月のポイント

  • 9月の訪日外客数は3,103,700人(前年同月比5.0%減・推計値)。1〜9月累計は30,730,200人(同2.9%減)
  • 国別では韓国が842,300人(25.6%増)、台湾が595,600人(13.0%増)と伸び、中国は430,800人(44.5%減)
  • 7-9月期の訪日外国人旅行消費額は2兆2,076億円(前年同期比3.2%増・1次速報)。国籍別では台湾が最大
  • 9月の外国人延べ宿泊者数は1,165万人泊(前年同月比9.2%減・第1次速報)。都道府県別(8月)は地域によって増減が分かれた

全体概況:9月は前年同月比5.0%減、直近3か月は増減が分かれる

9月の訪日外客数3,103,700人は、前年同月比5.0%減でした。直近12か月の推移は次のとおりです。

  • 2025年10月3,896,524人+17.6%
  • 2025年11月3,517,659人+10.4%
  • 2025年12月3,617,791人+3.7%
  • 2026年1月3,597,881人−4.9%
  • 2026年2月3,466,848人+6.4%
  • 2026年3月3,619,159人+3.5%
  • 2026年4月3,692,364人−5.5%
  • 2026年5月3,560,256人−3.6%
  • 2026年6月3,148,754人−6.8%
  • 2026年7月3,442,310人+0.2%
  • 2026年8月3,098,900人推計−9.6%
  • 2026年9月3,103,700人推計−5.0%

棒の薄い月は推計値(JNTO注記)。2026年9月までの累計は30,730,200人(前年同期比−2.9%)。右の数字は前年同月比です。

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(国籍/月別)」2026年10月21日公表・資料を開く。グラフと前年比などは、JNTOの公表値をもとに株式会社IMJが作成

JNTOの報道発表によると、9月は愛知県でアジア競技大会が開催され、選手や関係者の訪日があった一方、中東情勢による航空券価格の上昇、航空便の減便、台風による欠航の影響等もあり、多くの市場で前年同月を下回りました。報道発表には、国別の要因までは書かれていません。ここから先の解釈は、公表数字から考えられる仮説です。

8月の9.6%減から9月は5.0%減へと減少幅が小さくなっていますが、2か月分だけで回復の傾向とまでは言えません。10月以降の数字を確認したいところです。

国・地域別動向(9月・訪日外客数)

9月の上位10市場は次のとおりです。

  • 1. 韓国842,300人+25.6%
  • 2. 台湾595,600人+13.0%
  • 3. 中国430,800人−44.5%
  • 4. 米国217,500人−3.2%
  • 5. 香港145,000人−3.0%
  • 6. 豪州90,700人−6.1%
  • 7. カナダ49,300人−11.4%
  • 8. ドイツ46,100人−12.7%
  • 9. ベトナム45,800人−9.2%
  • 10. 英国45,200人−4.1%

2026年9月の推計値。右の数字は前年同月比です。

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(国籍/月別)」2026年10月21日公表・資料を開く。グラフと前年比などは、JNTOの公表値をもとに株式会社IMJが作成

東アジア:韓国・台湾は増加、中国の減少が全体を押し下げた

韓国と台湾は、JNTOの報道発表で9月として過去最高を記録した市場に挙げられています。中国は上位3市場の中で唯一の減少で、減少率も大きく、全体の数字を押し下げた要因の一つと考えられます。香港は3.0%減でした。

欧米豪:上位市場はいずれも前年同月を下回った

米国(3.2%減)、豪州(6.1%減)、カナダ(11.4%減)、ドイツ(12.7%減)、英国(4.1%減)は、上位10市場の中ではいずれも前年同月を下回りました。航空便の減便や航空券価格の上昇が背景にあるとJNTOは示していますが、市場ごとにどの程度影響したかは、報道発表からは分かりません。

なお、JNTOの報道発表には、9月として過去最高を記録した市場として、韓国・台湾のほか、シンガポール、インド、メキシコ、ロシア、中東地域が挙げられています。

7-9月期の旅行消費:2兆2,076億円、台湾が最大

ここからは、月次ではなく7-9月期(四半期)の数字です。観光庁「インバウンド消費動向調査」の2026年7-9月期1次速報(2026年10月21日公表)では、訪日外国人旅行消費額は2兆2,076億円で、前年同期比3.2%増でした。1人当たり旅行支出(一般客)は23万4千円で、同6.1%増です。

国籍別の旅行消費額(上位5市場)は次のとおりです。

  • 1. 台湾3,818億円構成比17.3%+26.2%
  • 2. 中国3,583億円構成比16.2%−39.8%
  • 3. 韓国2,938億円構成比13.3%+45.8%
  • 4. 米国2,409億円構成比10.9%+9.1%
  • 5. 香港1,555億円構成比7.0%+37.1%

2026年7-9月期(1次速報)。右の数字は前年同期比です。

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2026年7-9月期(1次速報)」10月21日公表・資料を開く。この資料を加工して作成(順位は株式会社IMJの算出で、観光庁が作成したものではありません)

中国は前年同期比39.8%減となった一方、消費額では構成比16.2%で2位でした。訪日客数の順位と消費額の順位は同じではないため、客数の多い国だけを見ていると、売上に近い市場を見落とす可能性があります。なお、ここで比べているのは9月の客数ではなく7-9月期の消費額であり、期間が異なる点にご注意ください。

1人当たり旅行支出を国・地域別に見ると、一般客ではフランスが42万3千円、メキシコが41万4千円、北欧が40万7千円と上位でした。費目別の構成比は、宿泊費35.2%、買物代27.7%、飲食費22.9%です。前年同期から増加した費目として、交通費と買物代が挙げられています。

  • 宿泊費35.2%
  • 買物代27.7%
  • 飲食費22.9%
  • 上記以外14.2%

費目別の構成比(2026年7-9月期・1次速報)。「上記以外」は交通費・娯楽等サービス費などの合計で、100%から3費目を引いた当社の算出値です。前年同期から構成比が増えた費目は交通費・買物代(観光庁発表)。

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2026年7-9月期(1次速報)」10月21日公表・資料を開く。この資料を加工して作成(「上記以外」の値は株式会社IMJの算出で、観光庁が作成したものではありません)

9月の宿泊(第1次速報)と、8月の都道府県別

観光庁「宿泊旅行統計調査」では、2026年9月の外国人延べ宿泊者数(第1次速報)は1,165万人泊で、前年同月比9.2%減でした(2026年10月30日公表)。

観光庁の注記によると、2026年1月分から調査の層化基準が従業者数から客室数へ変更されており、前年同月比には見直しの影響が含まれる可能性があります。増減の数字は、この点を踏まえて読む必要があります。

都道府県別は、9月分がまだ出ていないため、8月(第2次速報)の数字になります。9月の全国値と同じ月の比較ではない点にご注意ください。8月の外国人延べ宿泊者数は全国で12,393,220人泊でした。

  • 1. 東京都4,064,950人泊−13.4%
  • 2. 大阪府1,647,620人泊−15.8%
  • 3. 京都府1,162,560人泊−21.9%
  • 4. 北海道929,690人泊−8.6%
  • 5. 沖縄県831,750人泊−18.2%
  • 6. 福岡県706,880人泊+5.2%
  • 7. 神奈川県328,820人泊−17.6%
  • 8. 千葉県293,810人泊−12.8%
  • 9. 愛知県289,520人泊−24.8%
  • 10. 広島県171,520人泊+6.7%

2026年8月(第2次速報)の上位10都道府県。右の数字は前年同月比です。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(報道発表資料・集計結果)」10月30日公表・資料を開く。この資料を加工して作成(順位は株式会社IMJの算出で、観光庁が作成したものではありません)

  • 関東4,959,430人泊全国の40.0%−13.7%
  • 近畿3,062,030人泊全国の24.7%−17.5%
  • 九州1,011,860人泊全国の8.2%+1.1%
  • 北海道929,690人泊全国の7.5%−8.6%
  • 沖縄831,750人泊全国の6.7%−18.2%
  • 中部614,440人泊全国の5.0%−16.4%
  • 北陸信越313,890人泊全国の2.5%+5.2%
  • 中国269,750人泊全国の2.2%+12.3%
  • 東北253,890人泊全国の2.0%+32.2%
  • 四国146,480人泊全国の1.2%+9.5%

2026年8月のブロック別(区分:観光庁の宿泊旅行統計が使う運輸局等の区分(長野県は北陸信越、福井県は中部、山梨県は関東に含む))。ブロックの前年同月比は、各都道府県の前年同月比から前年値を逆算して合算した当社の算出値(概算)で、観光庁の公表値ではありません。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(報道発表資料・集計結果)」10月30日公表・資料を開く。この資料を加工して作成(ブロック合計・全国シェア・ブロックの前年同月比は株式会社IMJの算出で、観光庁が作成したものではありません)

ブロック別では、関東が13.7%減、近畿が17.5%減となった一方、東北は32.2%増、中国は12.3%増、四国は9.5%増、九州は1.1%増でした。宿泊者数の多い大都市圏で減少が目立ち、地方部では増加したブロックが多いという見方ができます。ただし、地方部は母数が小さいため、増加率が大きく出やすい点には留意が必要です。

飲食店・宿泊施設が今月見直したいこと

数字から断定できることは多くありませんが、次の3点は、今月のうちに確認しておく価値があると考えられます。

1. 自店の国籍別の数字を、前年同月と並べて見る

全国では中国が減り、韓国・台湾が増えています。自店でも同じ動きになっているとは限りません。9月の来店・宿泊・予約を国籍(言語)別に集計し、前年同月と比べてみてください。全国の傾向と自店の傾向の差が、施策の優先順位を考える手がかりになります。韓国語・繁体字など、伸びている市場の言語で、メニュー・営業時間・予約方法が案内できているかも確認したい点です。

2. 台風・欠航などで予定が変わったときの案内を整える

9月は、JNTOの報道発表で台風による欠航が影響の一つに挙げられています。予約の変更・キャンセル、到着遅れ、チェックイン時間の変更などに、多言語で対応できる文面を用意しておくと、年末に向けた繁忙期の前に慌てずに済みます。予約ページやGoogleマップのプロフィールに、連絡手段と変更ルールが分かりやすく書かれているかを見直してみてください。

3. 費目別の構成を手がかりに、単価と提案内容を点検する

7-9月期の費目別構成比は、宿泊費35.2%、買物代27.7%、飲食費22.9%でした。飲食店であれば、コースや限定メニュー、飲み物を含めた提案が、写真と言語つきで伝わっているか。宿泊施設であれば、朝食や周辺の体験など、滞在中の支出につながる案内が客室や予約ページにあるか。1人当たり旅行支出(一般客)が前年同期比6.1%増となっている今、単価にかかわる見せ方を一度点検する価値はあるでしょう。

まとめ:月次・四半期・宿泊を、期間を分けて読む

9月の訪日外客数は前年同月比5.0%減でしたが、7-9月期の旅行消費額は前年同期比3.2%増、1人当たり旅行支出も6.1%増でした。月次の客数と四半期の消費額は期間が異なるため、「客数は減ったが消費は増えた」と単純に結びつけることはできません。ただ、客数の増減だけでは市場の実態を測りきれないという見方はできます。

宿泊は9月が9.2%減、8月の都道府県別は大都市圏の減少と地方部の増加に分かれました。国籍別・地域別・期間別に分けて見ることで、全国の数字と自店の数字の違いが見えてきます。10月以降の数字で、減少幅がどう動くかを引き続き確認していきます。

参照:

関連記事: 【2026年4月インバウンド動向】マイナス5.5%の中身——「減った」のか「ずれた」のか。前年同月比マイナスも2026年単月最高を更新


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